■フロントロードは腹に響くような低音が出た!
デザインだけでも満足度の高いフロントロードホーンだが、その音はバックロードホーンとどう違うのだろうか。まず、このスピーカーは容量が大きくキチンと設計されたバスレフなので、低域が70Hzから再生される。つまり低域の量感がすごくあるのだ。さらにバックロードより背が低くガッチリとした構造なので箱鳴りがしない。佐山雅弘トリオ『メモリーズ・オブ・ビル・エヴァンス/マイ・ファニー・バレンタイン』(96kHz/24bit)を大音量で鳴らしても箱がビビらない。グラスファイバーコーンの音はなめらかで女性ボーカルが心地よい。また、能率が高く小出力の真空管アンプでも鳴らせる。驚くべき事に音像定位はDigiFiの同じシリーズのバックロードホーンキットよりもシャープで明確だった。
いつものYuji Ohno & Lupintic Five with Friends「BUONO!! BUONO!!/THEME FROM LUPIN III 2015〜ITALIAN BLUE ver」(48kHz/24bit)もホットな音色で、高域は刺激的過ぎない。ユニットを『OMF800P』に交換すると高域のヌケが良くなる。中音量から大音量再生がメインなら、こちらのユニットを使いたい。デスクトップに置いてBGMや小音量再生が多いならDigiFiのフルレンジの方がいい。小音量再生では高品質なボリュームが欠かせない。拙宅ではここが悩み所になっている。フロントロードホーンは小音量で聴いて良し、大音量で鳴らしても良しのオールマイティなスピーカーで、塗装にこだわれば、さらに満足度がアップする。何より市販の小型スピーカーにフロントロードは皆無なので、自作しかないのだ。時間が出来たら、この上にホーン型ツイーターを載せるという楽しみもある。初めて作るエンクロージャーキットとして、バスレフキットに飽きてきた人にもオススメだ。
8cmユニットなら互換性があるので、7月19日発売予定のMOOK、Stereo編「これならできる特選スピーカーユニット フォステクス編」に付属する『OMF800P』を装着。見栄えのするデザインだ。
周波数特性を簡易測定すると100Hzあたりから強力に低音が出ている。その後はダラ下がりだ。
写真・文/ゴン川野
オーディオ生活40年、SONY『スカイセンサー5500』で音に目覚め、長岡式スピーカーの自作に励む。高校時代に150Lのバスレフスピーカーを自作。その後、「FMレコパル」と「サウンドレコパル」で執筆後、本誌ライターに。バブル期の収入は全てオーディオに注ぎ込んだ。PC Audio Labもよろしく!
※記事内のデータ等については取材時のものです。