東京都小平市、西武多摩湖線一橋学園駅近くの商店街。この通りに『アクティブスタジオ』という写真店が存在する。
ごく標準的な商店街の一角にある、ごく標準的な写真店である。外見だけなら。
アクティブスタジオには、世界中からプロ写真家が足を運ぶ。フィルム現像はここでなければダメだ、という。
そう、フィルム現像のためだけに海の向こうから旅客機を乗り継いでやって来るのだ。いくらデジタルカメラ全盛の昨今とはいえ、彼らの住む国にフィルム現像を受け付ける写真店がまったくない、というわけではないだろう。
だが、フィルムカメラを愛好する写真家は「小平のアクティブスタジオでなければ話にならない」そうだ。
■100%のアナログ写真
「現在日本に存在する写真店の殆どが、デジタルスキャンを採用しています。ネガをデジタルデータに直して印画紙に露光させます。ネガから直接印画紙に映像を焼くわけではないのです」
アクティブスタジオの店主である坂野英俊氏は、巨大な機器の前でそう説明する。
フィルムカメラ、言い換えればアナログ写真は今も根強い需要がある。最近ではアナログ写真は「インスタ映え」するということで、若年層からも注目されている。
だが、現代のアナログ写真はじつは100%アナログではないという。
現像の過程で、ネガに写された画像は必ずデジタルデータ化される。その後仕上がった写真は、結果的にデジタル画像となっている。しかしアクティブスタジオにあるプリントプロセッサー『ノーリツQSS23』は、画像をデジタル化する過程を一切踏まえない。ネガに光を通し、それをレンズで集めて写真にする。
つまりこの機器で焼かれた写真は、「正真正銘のアナログ」なのだ。