■『FE108-Sol』は1発と2発で音が違うのか?
そもそも『FE108-Sol』のエンクロージャーとしてFOSTEXが発売したのは『BK108-Sol』(5万8000円×2)である。高さ882mm、奥行き440mm、幅180mm(台座部分は300mm)のスリムなトールボーイ型バックロードホーンだ。重さ11kg、空気室の容積は2.2L、ホーン長は220cmとなる。フルレンジ1発の音は予想通り音離れが良く、スピーカーの存在を感じさせない。優れた音像定位と音場感、スピード感があって解像度が高い。さすがバックロードホーン専用に作られたユニットと専用設計のエンクロージャーのペアだ。私はこれで充分と思ったのだが『BK1082-Sol/BR』を聴くと低音の押し出しが良く、しかもこちらの方が低域の解像度が高いように感じられた。最低域は少しこもる部分もあるが、部屋の空気を動かすような音圧が出せる。しかし、こちらはフルレンジ2発、ユニット代だけで7万6000円プラス『BK1082-Sol/BR』で合計30万2000円と結構な金額になる。1発なら『BK108-Sol』プラス、ユニット代で合計15万4000円と約半額になる。ハイコスパなキットBearHorn『ASB1081』(3万9000円)を自分で組み立てればユニット代込みで合計7万7000円とさらに半額になる。バックロードホーン好きなら、2000台限定生産の『FE108-Sol』をまず確保して、どのエンクロージャーに入れるかをじっくり考えるのがいいだろう。
Xperienceは室内の雰囲気から椅子を含むインテリアまでこだわりが感じられる空間で、公開実験の内容も分かりやすく、参加者の質問にも丁寧に回答してもらえた。イベントが行われない時にはFOSTEXのスピーカーの試聴ができる。オープンは11時から19時半まで、水曜日が定休日。音楽好きからオーディオマニアまで、時間が許せば訪れてみたい魅力的な大人隠れ家である。
フルレンジ1発で音道の設計は全く同じという『BK108-Sol』(5万8000円×2)も登場してその音を聴き比べた。
写真・文/ゴン川野
オーディオ生活40年、SONY『スカイセンサー5500』で音に目覚め、長岡式スピーカーの自作に励む。高校時代に150Lのバスレフスピーカーを自作。その後、「FMレコパル」と「サウンドレコパル」で執筆後、本誌ライターに。バブル期の収入は全てオーディオに注ぎ込んだ。PC Audio Labもよろしく!
※記事内のデータ等については取材時のものです。