■フルレンジにスーパーツイーターを加えるとどうなるのか?
限定生産の『FE108-Sol』はメカニカル2Wayセンターキャップを採用して、高域の再生限界を35kHzまで伸ばしている。可試聴範囲の20kHzを余裕で超えているのでツイーターは不要である。しかし、ここにあえてスーパーツイーターを加えるのが、次の実験だ。使ったのはFOSTEX『T90A』(2万3000円)である。再生周波数帯域は5kHz〜35kHzなので高域が伸びるわけではない。能率は106dBもあるためこのまま使うと『FE108-Sol』の90dBとはバランスがとれなくなることが予想される。通常であればコンデンサーとコイルを使ってネットワークを作り推奨クロスオーバー周波数で6dBか12dBでフルレンジのハイとスーパーツイーターのローをカットする。
しかし、今回は音の鮮度を大切にするためコンデンサー1発でスーパーツイーターを接続する。この方法はフルレンジ+スーパーツイーターではよく使われる方法である。試聴の結果、選ばれたコンデンサーの容量は0.47μFだという。計算上のクロスオーバーは4.2kHzとかなり高くなる。まあ理屈はともかく音を聴いてみよう。スーパーツイーターが接続されると音像がその高さまでスッと上がる。高域の抜けが良くなるのだがレンジ感や音圧に変化はない。今度はスーパーツイーターだけを鳴らしてみる。すると蚊の鳴くような音しか出ていないことが分かる。これであんなに音楽の印象が変わるとはにわかには信じがたい。ホーン型が得意として金管の音、シンバルのアタック感や音色はありとなしではかなり変わってくる。乙訓さん曰く、入れなくてもいいが、一度入れると外せなくなる。それがスーパーツイーターだという。
ホーンスーパーツイーター『T90A』(2万3000円)をコンデンサー1発で接続して高域の変化を聴いた。
スーパーツイーターのありなしの音の変化を比べるためにツイーターユニットを伏せたところ。実験しているのはXperience代表の荒谷正司さん。