■手持ちのオペアンプ高音質ベスト3を発表!
それでは早速、オペアンプを交換したアンバランス出力の音を比較してみよう。その前にもともと付属しているBarBrown「OPA2134PA」を使った場合の「バランス駆動対応ヘッドフォンアンプ」の実力はどの程度なのか。RCA入力を使い、電源はモバイルバッテリー、試聴用ヘッドフォンはPHILIPS『Fidelio X1』をORB『J10-mini Clear force/1m』でリケーブルしている。まず、気が付くのは低域のドライブ能力である。電源が5Vとは思えないほどヘッドホンのドライバーをグイグイ動かして量感のある低音を出してくれる。「OPA2134PA」はやや硬質な高域でクッキリ、ハッキリした音だ。ハイレゾ音源をハイレゾっぽく聴かせてくれる。アンバランス出力は高感度なBA型のカスタムイヤモニから、大口径のヘッドホンまで、気持ちよく鳴らしてくれる。内部にゲイン切り替えがあるが、Highに切り換える必要はなかった。本機の実力はポタアンに負けることはなく、据え置き型では2〜3万円クラスに匹敵する。また、バランス用とアンバランス用のオペアンプが交換して、自分好みの音を追求できる点も見逃せない。
●Best1.BarBrown「OPA627AU2/回路変換基板」
ボーカルに独特のにじみのような響きが乗る。これが何とも言えない味だ。好みのにもよるが「OPA2134PA」で聴くボーカルがクールすぎる、金属的、モニター的に思える人にオススメ。フワッと包み込むような低域の量感も独特のもので、解像度は高くないが心地良い。全体的にはピラミッドバランスで歯切れのいい音。尖った音にわずかに丸みを持たせるオペアンプである。
●Best2.新日本無線「MUSES 02」
2回路入りのバイポーラ入力、高音質オペアンプ。「MUSES 01」を上回る低域の解像度を持ち、ひろい音場とシャープな音像定位が特徴。いかにも日本製と思わせるモニター的に生真面目な解像度と情報量の多さが特徴。しかし、高域の伸びと繊細感は「MUSES 01」の方が秀でている。
●Best3.BarBrown「OPA2604」
ベスト1と2が高価なオペアンプだったので、こちらはコスパ重視で決定。1個700円前後で入手できる。付属の「OPA2134PA」よりも落ち着いたなめらかな音になる。音の粒立ちより、音の厚みとなめらかさを重視しており、シャカシャカした音が嫌いな人にオススメ。BarBrownらしい音色が手軽に楽しめるオペアンプだ。
拡張基板『DF22-EXP』3000円(税込)を使うと、2.5mm4pinやXLR4pin端子にも対応できる。これに関しては改めてレポートする予定だ。
写真・文/ゴン川野
オーディオ生活40年、SONY『スカイセンサー5500』で音に目覚め、長岡式スピーカーの自作に励む。高校時代に150Lのバスレフスピーカーを自作。その後、「FMレコパル」と「サウンドレコパル」で執筆後、本誌ライターに。バブル期の収入は全てオーディオに注ぎ込んだ。PC Audio Labもよろしく!
※記事内のデータ等については取材時のものです。