さあ、実際の乗り心地はどうだろうか。今回の試乗区間は甲府~松本間だ。曲線と勾配が続く山岳区間である。実を言うと筆者は従来車の「スーパーあずさ」を少し敬遠し、「あずさ」を選んで乗る傾向があった。理由はやはり狭い車内空間と揺れが気になるためだ。また、テーブルも狭く、PCを用いた作業もやりづらいというのも理由にあった。
新車らしい輝きを放ちながらE353系が甲府駅に登場。縦一列に並んだヘッドライトがかっこいい! 早速車内に入ると白を基調とした明るい車内が印象的。JR東日本の在来線特急では初めてLEDを使用した間接照明も心地よい。普通車はブルーとブラックのモケットのシートが並ぶ。従来の「スーパーあずさ」に比べて車内が大幅に広く感じたが「確かに広くはなっていますが、実は数字的にはそこまでではないんです。デザインによってそういう風に感じていただけるようにも工夫しました」とのことだ。
明るく広々とした普通車。「南アルプスと梓川の清らかさ」がコンセプト
実際に腰かけてみると普通車にも関わらず機能的なシートだということがよくわかる。まず一番に気が付くのが頭に当たる枕だ。クッション性が高いのはもちろん、可動式になっているので自分好みの位置を調整することが出来る。そしてコンセントも全席に完備。テーブルも大型化され、ノートパソコンをA4サイズのノートPCをおいてみたところ、ちょうどフィットした。また、エアコンの個別吹き出し口を装備したことで各座席ごとに風量と風向きを調整することができる。中央本線は山岳路線ということで、乗車下車駅によって気温が大きく異なるので、個々の適温も異なるがこの機構はとてもありがたい。車内からは見えないが空気清浄機も搭載しているそうだ。
従来であればグリーン車級の機能だった可動式まくらも普通席に装備