主に新宿~松本を結ぶJR東日本特急スーパーあずさ号に2017年12月23日、新型特急電車E353系がデビュー! 観光、ビジネスユースともに利用者がとても多い列車だけに注目したい新型車両だが、今回一足早く試乗することができた! 今回は大きく進化した魅力的な車内と新たな乗り心地をレポートしよう。
JR東日本の中央本線には主に新宿と甲府を結ぶ「かいじ」、新宿と松本を結ぶ「あずさ」「スーパーあずさ」が運転されている。その中でも特に速達性を重視しているのが今回新型車両が導入される「スーパーあずさ」だ。中央本線はカーブの多い山道を走行するため、いかにカーブを速く曲がることが出来るかが速達性の大きなカギを握る。ただ、やみくもにカーブの走行速度を上げてしまうと、外に引っ張られる遠心力により乗り心地が悪くなり快適性が損なわれる。そこで、従来より「スーパーあずさ」には、ちょうどバイクや自転車がカーブを曲がるのと同じように左右に車体を傾け、遠心力を緩和させつつ、通常の車両より速くカーブを通過できる「制御付き自然振り子」装置というものが取り付けられた専用の車両で運転されてきた。この従来車はカーブ通過時に最大で約5度傾斜する機構を持っていたが、振り子機構は車両の台車(車輪の部分)構造が複雑になり保守に手がかかる点や、傾斜させる分信号や電柱といった外の建築物に干渉しないように若干スリムな車体構造にする必要があり、車内が狭くなる傾向になる。そしてなにより車体傾斜による左右の揺れがどうしても発生する。
カーブで大きく傾斜する振り子式機構の「スーパーあずさ」従来車E351系。車体がスリムなのも特徴
そこで新型車両では構造が簡素化でき保守面でも有利な「空気ばね式車体傾斜方式」を採用。これは車体を支える「空気ばね」というサスペンションに当たる機構を少しだけ上下させて車両を左右に傾斜させる機能で、東北新幹線のE5系はやぶさ号やE6系こまち号などにも採用された方式だ。ちなみに傾斜角は最大で1.5度。従来車より大幅に傾斜角が減っているが「車両のさらなる低重心化を図り、また車両も新設計とすることで傾斜角を減らしても従来と同じカーブの通過速度を維持したまま走行することが出来るようになりました。傾斜角が減らせる分、乗り心地もよくなりますし、車内も広くすることができます」とJR東日本長野支社伏田忠広運輸部長が語る。
「設計から車体傾斜の試運転まで多くの時間をかけてきました。多くのお客さまのご利用をお待ちしております」と伏田忠広運輸部長