しかし、こんな痛恨のエピソードもある。昨年2月、外房で鬼カサゴを釣ろうとした時のこと。当日の天候は数日前のGPVでは心配なく予約していたが、前日の昼頃にGPVを見ると晴天ながら相当な強風と予報され、船宿に出船を確認する電話をした。すると、もうちょっと様子を見たいので、夜にもう一度電話をと言われる。日が暮れてからのGPVは、依然として強風を予報している。これは中止と確信しつつ船宿に電話すると、地元の予報では風は収まるので大丈夫という見解だった。出船するというのだから、前日キャンセルというわけにはいかない。半信半疑ながら深夜1時半に起床、釣友2人とともに4時に港に着くが、風が吹き荒れている。素人目にも出船不可能だ。船宿スタッフは、集まった釣り客に丁重に謝っている。
だが2度まで電話確認をした上で深夜に起床、高速料金とガソリン代を使ってやってきた僕たちは、全く釈然としない。しかしそこはいい年をしたおじさんたち、ぐずぐず文句を言うこともせず、渋々帰京した。空の天気そのものはよく、高速の車上から見た真冬の夜明けの美しさが、せめてもの慰めだった。自然が相手ゆえ、こういうケースは仕方ないと言えば仕方ないが、せめて期間限定の乗船料割引券とかを配ったらいいのではと思い、そんな意見を釣り雑誌の読者ページに送ったら採用してくれた。
冬には重要な指針となる、「雨量・雲量」の予報図。外房エリアの降雨量は予報では降水量は1mmほどで夏なら気にかけないが、冬なら僕は行かない。
リタイア釣り師、時間はたっぷりあるものの、頻繁に釣行できるほどお金のゆとりはない。また今や齢60を越えた身、うねりで船が揺れ、風で仕掛けを扱いにくい中、悪戦苦闘しつつ釣るのは避けたい。釣るときは、絶好のコンディションの日を選びたい。その頼もしい味方が「GPV気象予報」なのだ。
文/斎藤好一
元DIME編集長 17年10月に小学館を定年退職。釣り、ロック、オーディオ、ワイン、車、旅行、ファッション、コスメ、まるで『DIME』のごとく多彩に興味津々。