その2は、名盤『紫の炎』のUKマト1vs USマト1対決。『紫の炎』は大好きなアルバムだ。オーディオを一新するや音がいいとされるSHM-CD仕様で聴いたが、音が曇っていて落胆。そこで近年に発売された、こちらも音がいいとされる180グラム重量アナログ盤を購入したが、やはり音がこもる。名演奏なれど駄目録音の典型(結構、この類はある)だと思っていた。さる有名誌のディスクレビューにも、音の悪さはマスターテープに起因しているのだろうというプ記述があり、同感だった。
ところがヤフオクに出ていたUKマト1の説明に爆音とあり、あまり高くなかったので(今は1万5千円くらいに高騰)騙されてもいいと落札、試聴してぶっ飛んだ。恐ろしくフレッシュ、豪快で輝きのあるサウンド。ハード・ロックの代表的名録音と言っていいだろう。『紫の炎』UKマト1は、僕が“マト1の迷宮”に入り込んだきっかけでもあるのだ。
さて、対するUSマト1。前述のように、原則論ではUKに勝るはずはない。だが『紫の炎』発売時のリッチーは、カリフォルニア・ジャム74でEL&Pとトリを争ったように、アメリカでは大人気のスーパースターだった。USマト1もかなり気合いが入った音ではと期待していたが、大外れ。当日はその凄まじき落差をご紹介する。
さらにもう一対決。同じ“マト1”でも、1万回再生したレコードと100回再生したレコードでは、100回の方が音はいいはずだ。ただし見た目では、再生回数などわかりようがない。そこで同じUKマト1を2枚、聴き比べる。僕のオーディオでは、5対4くらいの差が出るが、果たして会場ではどうだろう。
その3は、一般には音がいいとは思われていないらしいレインボーながら、これまた轟音の『虹を翔ける覇者』UKマト1だ。比較すべく、当時の日本盤を探しているがまだ見つからない。このほかにも、驚くほどいい録音のクリスマス・ソングを、岩田さんが用意する。曲目は、当日のお楽しみだ。
かように常人の理解を超えている“マト1”ワールド、興味を惹かれた方は是非ご来場を。ただし迷宮にはまってしまっても責任は取れないので、あしからず。
文/斎藤好一
元DIME編集長 17年10月に小学館を定年退職。釣り、ロック、オーディオ、ワイン、車、旅行、ファッション、コスメ、まるで『DIME』のごとく多彩に興味津々。