イベント会場は東急の目黒線&大井町線、大岡山駅から徒歩5分のライブハウス「Good stock Tokyo」。一般家庭では不可能な大音量で再生する。アナログプレーヤーはイギリスの名門オーディオメーカー、LINNの名機「LP12」のフラッグシップたるKLIMAXパッケージ(カートリッジも含めて約300万円)、スピーカーは60年代から70年代にかけてコンサートや劇場で多用されたアルテックのA4、ここまでのシステムでレコードを聴く機会はそうそうないだろう。
僕自身毎回、最初に聴くCDでなんといい音だろうと思ってしまう。だがワインがグレードを上げていくと最初のワインに戻れないように、より音のいいアナログレコードを聴くにつれ、CDの印象は色褪せていく。
12月16日に聴くメインのアーチストは、ディープ・バープル&レインボー。メニューを紹介すると、その1はライブの大名盤『ライブ・イン・ジャパン』聴き比べ。まずはバンド結成10周年記念と銘打って再発された日本盤と日本盤初版を聴く。マスターテープは同じと思われるが、アナログテープの経年変化のせいか、初版の方がずっと音がいい。
僕は日本でのライブ盤は日本で制作されると思いこんでいたが、ほとんどが母国で制作されるようで、このアルバムもイギリス盤『MADE IN JAPAN』がまごうことなき“マト1”となる。日本盤初版とUKマト1の音の差は、残念ながら(?)日本盤初版と再発盤の違いよりはるかに大きい。
ところでこの日本盤のジャケット、72年8月17日の武道館のアリーナだが、どこかに僕が写っている。終演後、リッチー・ブラックモアが叩き割ったギターが欲しくて、ステージを片付けているスタッフに「ギター、ください」と言って断られた記憶が鮮明だ。栃木県宇都宮市から上京した中学3年生、いい度胸していた。