■アウトバーンの存在意義とは?
アウトバーンも周辺国から流入する車両が多くなり、危険区間に対する速度制限が増えた。また、維持補修工事による渋滞が頻発して、実際に速度無制限に走れる区間は、全体の約20%だといわれる。
このような理由から、アウトバーンの有料化を検討しているという話もある。ドイツ自動車業界のロビー活動(反対支持行動)とアウトバーンの象徴性などが絡み、全面的な有料化は難しいという見方もあるが、今後どうなるかは誰にもわからない。
アウトバーンは、フランス、スイスなど周辺国の高速道路とも連絡されている
アウトバーンをリアルに体験してみると、ドイツの自動車産業が世界の頂点に君臨する上で、アウトバーンが多大な貢献をはたしたという考えを持たざるをえない。人々の想像力をかき立て、能力を最大限に導き出すのは常に、規制ではなくて自由であるからだ。
走り続けてずっと頭から離れない思いがあった。それは、アウトバーンはドイツ以外の国で実現できないのだろうか? という疑問だ。
★インフォメーション
アウトバーン(Autobahn)とは自動車(専用)の道路という意味だ。 正式名称はブンデスアウトバーン(BundesAutobahn)、つまり、連邦高速道路である。ヒトラーが作ったことはほとんどの人が知っているが、その当時本格的に建設しただけであり、アウトバーンの構想自体はすでに1920年代のワイマール共和国時代から始まっていたのだ。
1935年にフランクフルト〜ダルムシュタット区間が初めて開通して以来、建設は続いており、2015年現在で総延長が約1万3000kmに達するという。
速度制限がなく通行料がかからないが、トラックは80km/hまでに制限され、通行料も2005年からは12トン以上の貨物車に限って徴収される。ただし、料金所はない。
追い越し車線に進入するときは遠くから来る200km/h以上の超高速車両(普通ライトをつけている)を確認してから、進入しなければ危険だ。
追い越し後、さらに後方から来る高速車両に道を譲るため、追い越し車線から走行車線へ、急な車線変更をするドライバーがいるので、注意が必要だ。
取材・文/劉昊相(ユー・ホーサン)
韓国出身。見知らぬ場所や文化を楽しむ、生まれついての旅行家。イギリス在住時に様々なプロジェクトを経験、Panasonicなど多国的企業での海外業務経験を持ち、英語、日本語、韓国語に通じる。旅行 コミュニティー「Club Terranova」を運営。
※記事内のデータ等については取材時のものです。