東京―九州間の移動手段は、航空機を選択する人が多い。確かに速い、LCCは安いといったメリットがある。しかし、高所恐怖症や墜落を恐れる人などにとっては、鉄道がイチバンの選択肢となるだろう。鹿児島中央から〈みずほ〉と〈のぞみ〉に乗り継いで帰京してみた。
■山陽・九州新幹線の最速列車は地味
〈みずほ〉は山陽・九州新幹線直通の最速列車で、新大阪―鹿児島中央間を最速3時間41分で結ぶ。九州新幹線内は〈さくら〉〈つばめ〉と同じ料金で乗車できるが、山陽新幹線内、もしくは、それをまたいでの乗車になると“〈のぞみ〉料金”が適用される(自由席を除く)。
定期列車は下り6本、上り5本と少なく、同区間は停車駅の多い〈さくら〉が“主役”である。双方とも、かつては東京発着のブルートレインで活躍した僚友で、九州新幹線鹿児島ルートの全通で復活した形となった。
山陽・九州新幹線直通の最速新幹線ながら、地味な存在の〈みずほ〉。
10時57分、鹿児島中央13番のりばに臨時〈みずほ614号〉新大阪行きが入線。車内の整備点検ののち、発車5分前に客扱いを開始。車掌は「博多まで車内販売がない」という車内放送を流す。昼食は乗車前に買ったほうがよさそうだ。飲料だけなら3・7号車の自販機を利用すればよい。
定刻通り11時25分に発車。博多まで最高速度260km/hで走る。N700系の最高速度は300 km/hだが、北陸・東北(盛岡―新青森間)・九州・北海道の各新幹線は、全国新幹線鉄道整備法に基づいて建設されたため、ほとんどの車両は性能を持て余している。
新幹線は、在来線より距離が短いルートで建設されるので、トンネルが多い。それでも、鹿児島県内では海、新水俣―新八代間では球磨川を眺められるが、あまりの速さに眺望できる余裕もない。