先日、ついに「平成28年排出ガス規制」が継続生産車両(現行モデル)にも適用され、国内のバイク市場はそのラインナップをガラリと変えた。さまざまなモデルが生産を終了し、なかでもホンダ・モンキーは一般ニュースにも取り上げられ、大きな話題となったのが記憶に新しいところ。そして、バイクファンの間でモンキーと同じく衝撃を持って受け止められたのが、ヤマハ・SR400の生産終了である。すでにヤマハは後継モデルの開発を明言してはいるが、今回の生産終了はSRの長い歴史のなかで、ひとつの区切りになったことは確かだ。そこでこの機会に、SRの偉大さをあらためて紹介する。
■変わっていないようで変わり続ける不朽の名車の「変遷」が面白い!
空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒エンジンにシングルクレードルフレーム、さらにスポークホイールやティアドロップタンクなど、バイクを知らない人がバイクを思い浮かべたときに描くような、シンプルかつオーソドックスなスタイルを持つモデルがヤマハ・SR400。1978年の登場以来、基本的な車体構成を変えずに生産され続けてきた稀有なモデルである。
ロングセラーモデルはSR以外にも数多くある。しかし、たとえばホンダ・モンキーの最初期型はリジッドフレームにOHVエンジンだし、ホンダ・スーパーカブもカモメ型ハンドルにOHVエンジンを採用していて、スタイリングはまったく異なるもの(バイクに興味がない人が見れば同じに見えるだろうが……)。ヤマハ・セローもロングセラーだが、2008年までのモデルは排気量は225ccで、2009年以降は250cc。エンジンはもちろん、フレームもまったく別物……車名やコンセプトは受け継がれつつも、フォルムや機構は時代とともに大きく変わってきたのだ。しかし、SRだけはフレームもエンジンも、フューエルタンクやシート形状だって同じ……まったく変わっていないのだ。
とは言いつつも、すでに初期型が登場して39年が経つモデルである。当然、これまに何度も排出ガス規制をクリアしてきたし、細かな部品や仕様の進化も繰り返してきた。つまり、SRはその乗り味や雰囲気を変えずに、しかし時代に合わせて変えるべきは変わり続けてきたのだ。その詳細は下に紹介しているが、ポイントはやはり一見しただけではその違いはなかなか分からない……つまりすべてが同じということ。SRがこれまで変わらずに生産され、人気を維持してこれたのは、こうした「キープコンセプト」「キープスタイル」のおかげといえるだろう。
現在、後継モデルの開発がメーカーウェブサイトで発表されているが、願わくば次期SRもまた、SRのスタイリングやコンセプトを崩さず、誰が見ても「SR400」だと分かるモデルに仕上げてもらいたい。