■研究から意外なコラボ商品が生まれることも
「冷却スプレータイプがそうですが、同じスプレータイプでもトリガー式にしたり、ノズルを長くしたり、使いやすさを工夫するだけでも効果に影響する場合があります。たとえば、洗剤業界では当たり前の計量や詰め替えがしやすい容器など、他の業界も参考にしながらお客様目線での製品開発を行なっています」
こうした研究所に蓄積されたノウハウは、他業界にとっても価値があり、全く異なる業界とのコラボレーションも行なわれている。繊維メーカーの帝人フロンティア(株)と開発した「スコーロン」は不快な虫が逃げる高機能衣料で、洗濯しても効果があることからアウトドアや屋外で働く人の間で人気があるという。他にも、防虫カーペットや建材、台所用品なども共同開発しているそうだ。
Foxfire
『MEN’S SCフルガードフーディ』
1万2800円
「ナメクジなどの不快害虫に効果がある商品も開発しています。対象となる虫の種類も増えていて、越冬のために部屋の中で見かけるようになったカメムシや、ほとんど害はないけれどベランダで見かける赤くて気持ち悪いタカラダニなど、研究は尽きません」
思いつきではなく、ニーズにひとつずつ応えようとする、堅くて真面目な取り組みは製品開発にも現れている。『ごきぶりホイホイ』や『アースレッド』のようなロングセラー商品の誕生にもつながっているのかもしれない。
次回はアース製薬の研究成果の積み重ねがそのまま商品になったともいえる『ごきぶりホイホイ』の開発秘話を、製造工場のレポートと共にお届けする。
取材・文/野々下裕子