社会科見学などのランキングで常に上位に名を連ねている、愛知県名古屋市のトヨタ産業技術記念館。あの世界のトヨタグループの創業者で、織機の発明に一生をささげた豊田佐吉。その長男でトヨタ自動車工業を創業した豊田喜一郎。両者の情熱とモノづくりの大切さを広く社会に伝える場として知られている。
その人気の秘密はどこにあるのか。現地を訪ね、たっぷりと探ってきた。
■建物がすでに遺産
名古屋駅から名鉄電車でわずか1駅。栄生駅から徒歩3分ほどで見えてきたのは、広大な敷地に連なるレンガ造りの建物群だった。正門脇には重厚なトヨタ産業技術記念館のプレートが掲げられ、ここがすでに産業遺産であることがひしひしと伝わってきた。
早速、中に入りチケットを購入。さて、じっくり見て回ろうとすると、ガイドツアーがもうすぐ始まるとのアナウンスが流れた。受付で確認すると、繊維機械館と自動車館の2か所にそれぞれガイドツアーがあり、午前と午後、それぞれ1回ずつ各45分かけて展示物の案内をしてくれるという。しかも無料! こんなお得なツアーはないと、すぐに申し込んだ。
■ガイドツアーの真骨頂
集合場所は、環状織機が動態展示されているエントランスロビーの一画。やってきたのは制服姿の女性ガイドさん。まずは丁寧なごあいさつを受け「では、行きましょう」とスタートしたのだが、平日の昼間だったので参加者は筆者ひとりだけ。恥ずかしいような嬉しいような(笑)、複雑な気持ちで繊維機械館に進み、最初の展示物の説明が始まった。
するとどうだ。その声を聞きつけた周囲の見学者たちが次第に集まり始め、最初は遠巻き。そのうちに、より詳しく見ようと近づいてくる。ガイドさんもそれを歓迎し、ウェルカム状態。あっという間にツアー客が増えていた。
このように、出発時に少人数でも次第に増えていくのはよくあるという。ただし、休日は人も多く一応20人の制限があることは付け加えておこう。