■若い世代にこびる
負けを認め、謙虚になることもなく、盛んに20~40代の社員の輪の中に入ろうとする。そのときに使うのが、20~40代の世代が使う言葉だ。「キモイ」「ドキュン」「シレっと…」「めちゃめちゃ」などとあえて聞こえるように口にする。
しかし、いずれもが前後の話の流れからすると、使い方に問題がある。不自然なのだ。ときには、「ナウい」などと、もはや、完ぺきな死語を使う。
あるいは、漫画の雑誌を買ってきて、それを愛読しているかのようにふるまう。さらには、会社のそばでシュークリームを5~10個買ってきて、皆に手わたす。それが、なぜか、恩着せがましい。皆からお礼をもらうまで、そばにいる。なかなか、離れないのだ。
常に疎外感や劣等感をもっているから、ここぞとばかりに自分をアピールする。しかし、いつまでも自分の負けを認めることなく、虚勢を張り続ける、だから、反感をまねく。挙句に、若い層にこびつつ、自分に従わせようとする場合もある。
■給料に見合った働きをしていない
なぜ、総スカンになるのか。つまりは、給料に見合った働きをしていないのだ。少なくとも、20~40代のエリート層にはそのように見える。自分たちよりも高いお金をもらいながら、怠慢なことをしていたり、高い成果や実績を残していない。それにも関わらず、若い層にこびつつ、自分の居場所をつくろうとする。あるいは、同世代の50代のエリ―ト層に敬意を払わない。中には、批判をしたりする場合もある。そこに、20~40代のエリート層は不快なものを感じるのだ。
■辞めない
つまりは、辞めないから、総スカンになる。出世競争がある程度決まる40代後半までに見切りをつけて、50歳前後で会社を辞めて、ほかの会社に転職をしたり、自営業などを始めるわけでもない。なぜか、そのまま残り、60歳どころか、定年延長で65歳までいる。
そのことに感謝する姿勢を皆の前で示すこともなく、居座り続ける。懸命に、必死に、真摯に仕事をしているならともかく、そんな姿勢を決して見せない。ここに、20~40代の意識の高い社員からすると、なんとも言えぬ理不尽なものを感じる。なぜ、こんなに高いお金をもらいながら、ここまで傲慢なのか、と思いがちなのだ。
最後に…。50代の場合は難しい立場と言える。昇格で順調に上がってきた人にはそれなりのポジションや待遇が与えられる。しかし、今やそのような人は少なくなりつつある。管理職にすらなれないまま、50代を迎えた人もいる。不満を持つのもわからないでもないが、ほかの世代からの目にも配慮はしたい。謙虚さはやはり、必要ではないだろうか。
文/吉田典史
ジャーナリスト。主に経営・社会分野で記事や本を書く。近著に「会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ」(KADOKAWA/中経出版)。
■連載/あるあるビジネス処方箋