【上司とクライアントの板挟みで困ってます。】
−−営繕係休憩室。それは、あなたの会社の中にある秘密の扉。会社の中で、あなた以外は誰も知らない秘密の部屋。悩んだら、いつでもおいで。悩みがなくても、遊びにおいで。さぁ、今日もひとりのサラリーマンがその扉のノブに、そっと手を伸ばしたようです。
【今週のサラリーマン相談】
上司がすべてをチェックしないと気がすまない人で、契約書類がデスクに戻ってくるのに何日もかかります。チェック待ちのせいでクライアントに遅いと怒られることもしばしば。さすがに内部のチェックのことなので先方に言い訳もできず、困っています。
サラリーマン田中(入社8年目、34歳、主任、IT系営業職、大阪市)
サラリーマン田中(以下、田中)「すいません……、誰かいますか?」
営繕のみつさん(以下、みつさん)「じゃあ逆に聞きますけど、誰もいないと思っている部屋に入る時に、『誰かいますか?』って言いながら扉を開けたりするっ?? 人がいると確定で思ってるから、誰かいますかって言ったんだよね?? ようこそ、会社のオアシス・営繕係休憩室へ。よくこの扉がわかったねぇ。どうぞ座って」
田中「うっわー。イキナリめんどくさそうな人やわぁ……。えーっと僕の悩みは」
みつさん「君の悩みは、もうわかっている!」
田中「え? 何でですか? テレパシーでも使えるとか?」
みつさん「っふ。君の顔を見たら、すぐにわかるよ。君の顔に、デカデカと悩みが書いてあるようなもんだからねぇ。まぁ正確に言うと上にデカデカと相談内容が書いてあるんだよ」
田中「じゃあ僕の顔色はまるで関係ないじゃないですか。相談してもいいですか?」
みつさん「君は、困っているんだね?」
田中「当然じゃないですか(笑)。困ってるから、ここに来たんですよ」
みつさん「人間は、何で困るんだろう?」
田中「えーっと、どうしようもない状況だから、困るんですきっと。何ていうかこう、八方ふさがりとでも言うか。もうどこにも、進む方向がない状況みたいな。そういう時に、人は困ります」
みつさん「そうかぁ……、ふむ。じゃあ、進む方向ができたら困らなくなるんだね?」
田中「ま、まぁそうですね」
みつさん「じゃあ、進めばいいじゃん。簡単じゃん。はい、次の人~」
田中「ちょっ!! え?? こんな早く出されるのこの部屋? ぜんぜんオアシスじゃないじゃん! 全くくつろげてない!」
みつさん「だって、『進む方向ができたら困らなくなる』って自分で言ったじゃん。なおかつ、『困るのは嫌です』ってのが相談なんだよね?? じゃあ、進めばいいじゃん!」
田中「いや、でも無理なんですって。僕のこの状況では、前にも後ろにも進めないんだから。上司に『チェックを早くして』とも言えないし、クライアントに『社内決済に時間がかかっている』と弁解もできない。結局、間に挟まっている僕だけが困っているんです」