自然の中で遊びながらも、ひたすら切り株に生えるきのこを探した。写真を撮って、図鑑で調べまくった。お母さんいわく「キラキラとした眼」で。
「また僕がきのこ好きだとわかると周囲の友達も自然と教えてくれるようになった。『あの公園にこんなきのこがあった』『あれ何?』と。それもうれしかった」
小1になると、近所の市民団体「兵庫きのこ研究会」に入会。年上のきのこ好きたちと各地でフィールドワークをするようになり、さらに知識が積み上げられた。
大きな転機はTV出演だ。6年前「小学生きのこ博士がいる!!」とバラエティー番組に出演すると、大反響。これを機にブログ『きのこ日記』を立ち上げた。ブログを勧めた、お母さんが話す。
「好きなものにのめり込むのはすばらしいし、できるだけやらせたかった。同好の人と〝縁〟ができれば、匠平の研究はもっと進むだろうと思ったんです。ならば、きのこの情報発信がベストかなと」
狙いは的中。ブログを通じて、自身と同じほかのきのこ少年たちとの「こんな新種がいた」という交流が始まった。子供の頃に感じたつながる喜びがあった。その後、「日本きのこ学会」にも入会。全国の博物館や大学などにいる日本を代表する研究者との情報交換も始まった。大人顔負けの知見は、この集合知に支えられているわけだ。
「今は砂浜に生息するスナジホウライタケを研究中。全国の生息情報をブログで募集しています。あっ、この記事を見て心当たりがある人がいたら連絡欲しいです!」
キラキラとした眼で言った。
自宅には千以上にも及ぶきのこの標本が。すべて自ら採取したもの。
リビングの一角にはきのこ専用冷蔵庫が。「業務用冷蔵庫を買ってもらいました」。
論文制作やブログ更新は、グラフィックデザイナーで画像処理もサポートするお母さんとモニターを並べて。