■メールでは遅すぎる!ビジネスチャットで効率的に
メールでは、どうしても待ち時間が発生し、次の行動につなげるのに時間がかかります。複数人とのコミュニケーションはできますが、スピード感のある意見交換には向いていません。
そこでまずお勧めしたいのはビジネス向けチャットです。
プライベートで利用しているLINEやFacebookメッセンジャーのように、カジュアルさが特徴で、用件だけをコンパクトに書けばよく、入力時間も短くて、お互いのレスポンスも必然的に早くなります。移動中や会議中などでも手軽に返答でき、時間や場所に捉われずスピード感を持って、目的を達成できます。
また相手のプレゼンス(オンライン状況かどうか)を把握できるので、相手の反応を見ながら効率的にコミュニケーションできる。不在の相手にメールを送り続けるといった無駄な作業も減ります。
最近では、多くの人の関心が、個人の生産性から、グループの生産性へと移ってきました。行動分析の結果、著しく成果を残す“活躍社員”の特徴として、「巻き込み力」「組織を超えた行動力」が挙げられます。必要なメンバーでグループチャットを作成すれば、情報の処理だけではなく、クリエイティブなアイデア交換ができる。さらに、最適なコミュニケーションにすぐ移行できる。結果的に、労働時間が減り、生産性が上がる。組織を超えて効率的な協働作業を行うことができれば、チームの一体感も醸成できる。ビジネス向けのチャットであれば、機密情報の漏洩といったセキュリティ面も安心です。
実際に、様々なチャットツールをお客様と共に使い検証しています。Office文書との親和性が高いSkype for Business、タスク管理ができるチャットワーク、既読/未読が分かりカジュアルなやり取りができるLINE WORKSなどがお勧めです。ビジネスチャット導入顧客への調査では、7割以上の企業が、効果的なコミュニケーションが増え、長時間労働の是正に繋がった、と回答しています。
■チャット・ポータルでさらに創造的活動を
事業生産性を向上するには、新規ビジネスの開発、もしくは新たな施策への挑戦が重要です。その際には、社内外の叡智を効率的に集めて短期間で実行することが必要になってきます。そこで、プロジェクトメンバー同士で、チャットを使いながら、ファイルを送受信したり、文書を共同編集したり、メモを取ったり、Web会議を行ったり、といった具合にスピード感を持って進めたいのです。
メール文化での共同作業は、画面切り替えや、最新ファイルの検索に時間がかかるなど、リズムよく“協働”ができない。Slack(スラック)はチャットを中心にして多様な協働作業ができるツールで、スピード重視の米国シリコンバレーで火が付きました。このご時世では、ゆっくり時間をかけて慎重にプロジェクトを進めるより、早く動き出し早く失敗した方が、新たなビジネスチャンスを手に取りやすいという事なのです。マイクロソフトも昨年Microsoft Teamsをリリースし、先月にSkype for Businessと統合する計画を発表し、メールではなくチャットをコミュニケーションの中心に据えるようです。
ラクをして楽しみながら成果を残すために、メール依存からの脱却やチャットの導入など個人レベルでも試してみてはいかがでしょうか。
文/越川 慎司
株式会社クロスリバー社長。元マイクロソフト役員でofficeビジネスの責任者。2017年に起業し、企業の働き方改革や海外進出を支援。週休3日で新しい働き方を実践中。
『新しい働き方~幸せと成果を両立するモダンワークスタイルのすすめ~』著