【プレゼンの達人・菅野 楓さんにみるスーパー中学生の育て方】
公式戦最多連勝記録を30年ぶりに塗り替えた将棋の藤井聡太四段(14)、世界選手権で史上最年少ベスト8を達成した卓球の張本智和選手(14)など今、中学生が大活躍している。今回は、様々な分野のスーパー中学生を探し出し、本人と親のインタビューから、彼らのすごさの理由、どうしたら優秀な子が育つのかを探ってみたい。好きなことに夢中になる情熱や柔らかな発想は、子育て真っ只中の親にはもちろん、仕事に追われるビジネスパーソンにも実は一番必要なものかも? シンプルで強い子供たちからのメッセージ、染みます。
◎小学生時代のプレゼンに、プロも絶賛
取り入れたいこと——
「世の中は変化する——。それを体感させる」
「おおっ」
そのプレゼンの中盤。スライドだけで説明されていた「ARマーカーを自動追尾するドローン」が実際に飛ぶと、会場がどよめいた。
「小5の時です。自作プログラムがちゃんと動き、練習の結果も出たので、うれしかったですね」
現在、中学2年生の菅野楓さんは〝天才プログラマー女子〟だ。
8歳でプログラミングを始め、アプリやゲームをいくつも開発。小学生の頃から「U-22プログラミング・コンテスト」などの大会で入賞を繰り返してきた。
そして彼女はもうひとつ称号を持つ。〝天才プレゼンテーター〟。キーノートを前にスマートに自ら開発したアプリを解説、その堂々とした説明の様子は、某OS大手に勤めるプレゼンのプロも舌を巻いたほどだ。
「自分の考えを誰かに伝えることが得意というか、好きなんです。それはたぶん、昔から『ことば』にとても興味があるからだと思います」
◎頭の中にあるものを正確に表わしたい
頭の中にあるものを、正確にそのまま誰かに伝えたい——。
幼少期の楓さんには、そんなジレンマがぼんやりあったようだ。
「正直、あまりに小さい頃で、正確に覚えていないのですが(笑)」
そんな時、「ことば」の機能に開眼した。何げなく使っていたが「あいうえお……」の記号を組み合わせれば思っていることをアウトプットできる。「頭の中を表わしたい」というジレンマを解消するツールなのだと気づき、言語をさらに使いこなしたいと好奇心がわいた。
友達との雑談でも「もっとこう話せばよかった」ってよく反省してます。
プレゼンの達人
菅野 楓(すがの かえで)さん[中学2年生]
2003年東京都生まれ。8歳からプログラミングを始め、今も中高生向けのプログラミングスクール「Life is Tech!」で学ぶ。2014年にはIT業界のスターの発掘・育成を目指す「U-22プログラミング・コンテスト」で、最年少の10歳で入賞。今年7月には「高い志」と「異能」を持つ若手人材を支援する孫正義育英財団の支援人材にも選ばれた。中学では女子野球部に所属している。