単に便利なだけでなく、セキュリティの面でも、クレジットカードそのものを出すより安全になる。Apple Payでは、支払いの際に、読み取ったクレジットカードの番号を使用しない。Apple Pay用に発行されたトークンを利用しているため、万が一、番号が漏れても、不正利用される心配が少なくなる。しかも決済時には、Touch IDでの認証も必要で、二重に安全策が取られている。海外渡航が多いユーザーには、非常にうれしい機能といえるだろう。
実際のクレジットカード番号ではなく、Apple Pay上で利用する番号が発行される仕組み。NFC用とFeliCa用の2種類が登録される
もっとも、Apple Payに登録したすべてのクレジットカードが、海外でのNFC決済に対応するわけではない。たとえば、先に挙げたau WALLETカードは、プリペイドであれば国内外で利用できるが、クレジットカードは、現在国内のみの対応となる。クレジットカードによっては利用すらできないため、注意が必要だ。
また、日本では、VISAがNFC決済の「payWave」を提供していない。そのため、日本発行のクレジットカードで利用できるのは、上記で試したMastercard Contactlessか、JCBの「J/Speedy」の2種類に限定される。国内での決済環境がかなり限定されていたり、対応できていないカード会社があるため、まだ盛大にアピールできないのかもしれないが、iPhoneの決済環境が今までより大きく広がったことは、間違いない。隠れた新機能として、注目しておきたい。
取材・文/石野純也
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。