うまいカツオを食いたきゃ高知に行け!
よく聞く言葉である。では、なぜ高知なのか? 高知でも指折りのカツオ一本釣りの町、中土佐町久礼の識者たちに、あらためて理由を聞いてみた。
■消費量が桁違い
まずよく言われるのはひとり当たりの消費量がダントツに多い点だ。県庁所在地を中心にしたデータでは、年間の購入数量の全国平均が982gなのに対し、高知市は4178g。実に全国平均の4倍であり、2位の福島市(2238g)にダブルスコアの差を付けている。*総務省の家計調査(二人以上の世帯)品目越都道府県県庁所在地及び政令指定都市ランキング(2014〜2016年平均)より抜粋
つまり、たくさん食べているから舌が肥え、より良いものを突き詰める。そしてちょっとでもマズイものに当たると、二度とその店では買わない。お店もそのあたりはよく分かっているので、仕入れに手を抜かない。すると良い店だけが生き残り、自然淘汰されていくというわけだ。
■仕入れても売らないこともある
カツオの善し悪しは、丸ものの状態で見極めることはできない。ある程度の予想はついても、実際にうまいのかどうかは、切ってみなければ分からない。なかには「ゴシ」と呼ばれる身が硬くて血なまぐさいものもあり、これをひと口でも刺身で食べようものなら、いっぺんにカツオ嫌いになるといわれている。
だから、高知の店では捌いている時にゴシを見つけたら生食として売ることはない。前述のようにお店として命取りになるからだ。
ただ、半身がゴシでももう半身は問題ないケースもあるようで、そこは魚屋さんの目利きと判断力が試される。ゴシができる理由は、個体差や釣った後の衝撃が影響するともいわれているが、明確な理由はわからない。ただし、釣った後の衝撃が、逆に美味しさに繋がるケースもある。