■公邸料理人に求められるスキル・資質とは?
では、この公邸料理人として活躍するためには、どのようなスキルや資質が求められるのだろうか?実際にタイ人の公邸料理人を教育し、海外に送り出している辻調理師専門学校の長谷川晃氏に、公邸料理人という職業で求められることについて聞いた。
<公邸料理人に求められる6つのスキルと資質>
1.料理人としての基本(味付け、盛り付け)
「料理人としての基本である、あらゆる味付けや盛り付けを心得ていることは、言わずもがな必要なことです。これなくして客人に料理を提供することはできません」
2.安全な料理を出すという責任感
「食中毒など出しては絶対にいけない。衛生面に常に気を配り、責任をもって安全な料理を作ることは必須です。」
3.料理の応用力
「各国において調理をするときには、食材選びから現地で行ないます。もちろん、日本からの輸入品を使用することもありますが、現地の食材をうまく用いて調理しなければなりません。現地の食材は、日本でよく見る食材と形が似ていても、うまく調整して調理することが必要な場合もよくあります。このような料理の応用力を持っていることは、とても重要なことです」
4.発想力
「応用力と似ていますが、産地の食材をうまく使い、おいしいものを作るにはどうしたらよいかを考えることも大切です。食べ手に合わせて、柔軟に対応できる発想力は、料理の仕上がりにも影響が出てきます」
5.言語力
「海外の公邸調理人は、日常の生活ではもちろん、材料調達のときには特に、言語習得が欠かせません。その国の言語力は、やはり必要なスキルです」
6.コミュニケーション力
「これには、言語力アップも必要ですが、コミュニケーションが上手に取れれば、それだけ、食べ手のことがよくわかり、料理を作るときの参考になります。自分から率先してコミュニケーションを取る資質やスキルは、公邸料理人には欠かせません」