SUV人気全盛の今、ステーションワゴンの影が薄くなっている。だが、今年になって使い勝手と、快適性、安全性を追求したステーションワゴンが注目を集めている。人気復活のきっかけとなりそうな最新モデル2台を比較試乗した。
欧米の自動車メーカーと日本の自動車メーカーの商品ラインアップを比べると、ステーションワゴンの車種の違いが目につく。改めて、おさらいするとステーションワゴンとは4ドアセダンをベースにルーフをリアまで伸ばし、荷室スペースを拡大したクルマを指す。全高は約1.5mぐらいで、立体駐車場に収まるサイズだ。
最近ではほとんど見かけなくなったLサイズの国産ステーションワゴンだが、80年代はトヨタ、日産、ホンダ、三菱、マツダなど各社から発売されていた。それがミニバンやSUVの台頭により、すっかり影が薄くなってしまった。だが、これは日本市場に限った話。北米でもミニバンやSUVがファミリーカーのトレンドではあるが、GM、フォード、クライスラーはステーションワゴンを造り続けている。欧州では依然として、各ブランドがステーションワゴンを開発し、新型車を次々に投入。最近ではそれらが日本市場でも人気を集めているのだ。
◎先進技術がてんこ盛りのヨーロピアンワゴン
BMW『5シリーズ』は今年2月にセダンをフルモデルチェンジし、ステーションワゴンを6月から投入した。部分自動運転を可能とした運転支援や車外からクルマを前後方向にリモコン操作できるなど先進技術を採り入れたことで話題となっている。また、パワーユニットも2Lのディーゼルターボ(『523d』)や直列6気筒3Lガソリンエンジンなど独自技術を注入。走りの楽しさを追求したラインアップを用意している。
ボルボの『90』シリーズは、同社の最上級モデル。今年2月、セダン、ワゴン、クロスカントリーの3モデルがフルモデルチェンジし、同時にデビューした。2Lのガソリンエンジンをベースにターボ、ターボ&スーパーチャージャー、電気モーターハイブリッドを揃え、新しいプラットフォームのボディーは高剛性、高レスポンスがウリ。16以上の先進安全機能や運転支援機能を標準装備し〝安全なステーションワゴンNo1〟を謳っている。
いずれも国産車では味わえない、余裕のある居住性と美しく流麗なスタイリングも魅力のひとつ。大切な家族と長い距離をゆったりと走るのに、ベストな選択肢であることは間違いない。