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努力家なのに上司から認められない会社員の特徴

2017.08.28

■連載/あるあるビジネス処方箋

私はこの10数年、リストラの取材を続けている。労働組合ユニオンなどに駆け込み、「会社から辞めろと言われた」と嘆く人の半数以上は、その場で話を聞く限りでは、社内で勤勉な社員だと思える。決して怠慢ではないし、成績が悪いわけでもない。まさに「努力の人」がいる。

しかし、勘違いをしている人が多い。「努力すれば報われる」と信じ込んでいるのだ。毎日、きちんとした仕事をしていれば、いずれは上司などから認められると真剣に思っている。上司やほかの管理職などが、どこかのタイミングで昇格させてくれるとも思い込む。

今回は、努力家なのに認められない会社員の特徴や今後の打開策について、私の考えを紹介したい。

■「実力主義」「成果主義」という言葉に感化されている

「努力してきちんとした仕事をしていると、やがて上司などから認められる」―。これは、幻想に近い。たしかに、努力はするべきであるし、尊い。怠慢な人よりははるかに美しい姿だ。しかし、「きちんとした仕事」は、会社員のほぼ全員がしていることだ。当たり前のことでしかない。

会社という組織にいる以上、上司などから高く評価され、推薦などをされない限り、認められることはまずない。その現実を受け入れることなく、「実力主義」や「成果主義」という言葉に感化され、本当に「きちんとした仕事」をして「実績」を残すと、認められると思い込んでいる。実は、何をもって「実力主義」「成果主義」「実績」と呼ぶのか、その定義はあいまいである。会社やその部署、上司によって違う。その現実を受け入れていない。

■「自分を高く評価させる仕組み」をつくっていない

「努力してきちんとした仕事をしていると、やがて上司などから認められる」と信じ込んでいる社員が仮に「努力家」だとしても、ほかにそのくらいの努力をしている人は社内にたくさんいる。では、なぜ、認められる人がいて、認められない人がいるのか。

片方は、上司などから認められ、早いうちに昇格する。片方はいつまでも認められることなく、空しい努力を辞めるまで続ける。その大きな差は、人事権を握る上司に、「自分を高く評価させる仕組み」をつくっているか否かだ。

たとえば、上司が法人営業を得意とするならば、2人で話し合うときに法人営業の話を盛んにするべきだ。嘘で構わない。あたかも、法人営業に強い関心があるふりをするのだ。それが、エチケットであり、身だしなみというものだ。上司が苦手とする仕事を話しても、おそらく高くは評価されない。そもそも、その仕事の中身をわかっていないのだ。上司が理解できる範囲内で、部下は仕事をてきぱきとテンポよく進めることが大切なのだ。

■「実力があれば認められる」と信じ込んでいる人は、上司が人間であることを忘れている。

人は誰しも自らが経験してきた中でしか、人を正確には判断できない。たとえば、出版社でいえば、書籍の編集者を20年してきた人が突然、雑誌の編集部の責任者となり、部下を正しく評価できるかといえば、その可能性は低いはずだ。

部下ならば次のようなことは、常に考えたい。「自分の評価は、誰がするのか」「その人の過去の経験や実績は、どのようなものか」。これらを機会あるごとに調べて、その枠の中で認められるような言動をとることが必要である。これはゴマすりでもなければ、処世術でもない。人が人を評価するうえでの常識である。自分に置き換えれば、よくわかるのではないだろうか。

こういう常識を受け入れたくない場合は、今のまま独自路線で進んだほうがいいのかもしれない。無理に常識に合わせようとすると、ストレスになりかねない。独自路線で進めば、前述した労働組合に駆け込むような人にやがてはなるかもしれない。それも1つの生き方であり、否定されるべきものではないと私は思う。ただ、惜しい生き方には見える。

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