○色の調合、染め
じゅうたんの代表的な素材はブラックフェイスという英国の山岳地に住む羊の毛。色の調合、染めも同社で行い、約2万色をストックしている。
1枚で25~41色を使っている「現代ライン」のグラデーションは、自社染色を活かしたデザインといえる。アパレルのニットと違ってじゅうたんは毛糸の表面ではなく切り口がどのくらい染まっているかが基準となるので、自社染色にこだわるのもそうした理由があるからだという。
○マーセライズ(艶出し加工)、クリーニング
新品のじゅうたんを使い込んだ風合いに見せる技術がマーセライズ。アルカリ溶液で洗うエイジング加工で、色調が変わって艶が出てくる。下記画像右側の新品のじゅうたんが、マーセライズすることで左のように紫があずき色になるなど、化学反応して中間色系に変化する。羊の毛はその年に気候などにより性質が変わるため、マーセライズにも職人のさじ加減が必要で、官邸や迎賓館、新宮殿など官公庁から注文があるのもマーセライズ加工の技術が評価されているためだ。
下記の画像はマーセライズ加工場でありメンテナンスも行う場所。数年に一度、製品が里帰りしてこちらでクリーニングを行う。洗ったあとは毛の流れを一定方向にするためにブラシで整えてから乾かす。じゅうたんは踏まれると柄もつぶれてくるので、クリーニングの最後にはさみを入れて調える。イニシャルコストは高いが、長年良い状態で使うことができるのが同社の製品の大きな特長だ。