●バブル崩壊、F1撤退、倒産へ…。
マーチを完全に買収した「レイトンハウス」は、セナ、プロスト、マンセル全盛期のF1でたびたび上位争いに食い込む活躍を見せ、また丸晶興産は約400億円で西ドイツの一流ブランド「ヒューゴ ボス」を買収するなど栄華を極めます。アパレルブランドとしても子供向けの「レイトンキッズ」が登場、またポッカコーポレーションからはその名も「レイトンハウスF1ドリンク」なるスポーツドリンクまで発売されるほどの人気を誇りました。
画像提供:竜□胆□か□る□ぴ□す□さん
しかし1991年、バブル崩壊とともに赤城氏にまつわるスキャンダルが表面化。同年9月には富士銀行の不正融資事件に関係した罪で逮捕され、赤城氏はF1チームのオーナーシップを失ってしまいます。「レイトンハウス」は翌1992年にはF1から姿を消し、丸晶興産も1998年、倒産に至ります。
●2016年、まさかのサイクルウェアとして復刻中!
その後ブランドは赤城氏と交流のあった人物に引き取られ、現在も「レイトンハウス」のアパレルやスニーカーなどが販売されています。
ところがこの7月、あの「レイトンハウス」から新たにサイクルウェアがリリースされる、という驚きのニュースが。
画像提供:N-WORKS
左:LEYTON HOUSEレーシングサイクルジャージ 半袖 1万2960円(税込)、右:LEYTON HOUSEレーシングサイクルビブショーツ 1万2960円(税込)。N-WORKSで受注販売。8月21日まで。
80年代後半にイヴァン・カペリが着用したレーシングスーツのイメージを、最新のサイクルジャージに落とし込んだこの逸品は、ただいま期間限定で受注販売中。なぜあの「レイトンハウス」がサイクルウェアになったのか、製品を企画されたN-WORKSさんに聞いてみました。
「弊社はオリジナルのサイクルジャージを数多く手掛けていますが、Facebookなどの自転車フォーラムでモータースポーツ関連のニーズが多くあったことが企画のきっかけです。ロードバイクのユーザーは30~50代がメインなので、『作るならセナプロ時代…1988~1991』と決め打ちし、その時代で一番華やかだった『レイトンハウス』を選び、版権元と交渉しました(N-WORKS代表 西川誠一さん)」
なるほど、確かにターゲット層とブランドもマッチしています。
「私もバブル世代でF1好きですから『あったよね!』『カッコよかった!』『バブルだったよね~!』と企画をまとめ、版権元も『レイトンハウス』ブランドの火を灯しつづける企画としてご協力いただきました。バブルのあだ花と揶揄されることもありますが、赤城社長はレーシングチーム運営に本当に真摯な方でしたね(西川さん)」
一般的に「レイトンハウス」は、「バブルに乗って不動産で大儲けした会社が、F1に手を出して大やけどを負った」というトーンで語られることが多いですが、赤城氏がレースに参入した1984年はバブルの3年ほど前、むしろ円高不況の時期でした。そのチャレンジ精神は、あらためてふりかえる価値がありそうです。
ブランド設立から30周年。いまこそレイトンブルーを身にまとい、アナタも風になってみませんか!自転車だけど!
文/DJGB
※記事内のデータ等については取材時のものです。