顧客からのクレームや、納期に間に合わなそうな見通し、金額のミスなど、組織にとって致命的となり得る事態になるかもしれない、と気づいたら、どうしているだろうか。
このような悪い報告をできるだけ早い段階で上司に報告することは組織を救うことになり、積み重ねれば出世できる可能性もある。
ただ、この悪い報告をするにはコツがある。そこで悪い報告をするときの注意点などを社会保険労務士で研修講師でもある津坂 直子さんに教えてもらった。
■悪い報告をいち早くすることのメリットは?
「悪い報告をいち早くすることの最大のメリットは、『組織として適切な処置を迅速にでき、その影響を最小限に抑えられること』です。例えば、次の3つの具体例でより理解できるでしょう」
1.クレームをいち早く報告して、組織として早急に謝罪したため、社会的事件に発展するのを免れた
「対応が遅れれば遅れるほど、お客様の怒りは膨れ上がります」
2.納期に間に合わない可能性をいち早く報告して、社内の協力体制を構築してもらえたため、納期通りにお客様へ納品できた
「一人で何とかしようともがいても、一人でできることには限りがあります」
3.請求書の金額ミスをいち早く報告して、上司と謝罪に訪問したため、誠意が伝わり信頼関係を失わずに済んだ
「例えば、上司が別件でお客様へ訪問し、請求書金額ミスの話題が出たときに、上司は『何も知らない』では済まされません」
■悪い報告をすることで出世することはできる?
「悪い報告」を重ねることで、「出世できる」ということを耳にすることがある。実際、出世はできるのだろうか?
「できると思います。なぜなら、仕事ができる人、そして、成長や成功を手にしている人は、ほぼ間違いなく『報告』を上手に使いこなしているからです。
仕事をしていれば、誰しも失敗やミスに直面します。出世している人は、失敗しても自分に嫌悪感を抱きすぎず、逃げずに上司へ報告するなど『行動』しています。
また、上司は、部下の『失敗したときの対応力』を見ています。悪い報告をいち早くするなど、失敗から目を背けず、逃げず、周囲の協力を仰ぎながら迅速に対応する行動力は、好印象を与えます」