■連載/石野純也のガチレビュー
サムスンのフラッグシップモデルで、2年ぶりのフルリニューアルとなるのが、6月に発売された「Galaxy S8」「Galaxy S8+」だ。この機種では、これまでおなじみだったホームボタンを撤廃。代わりに、上下左右ギリギリまでディスプレイを広げ、まるで映像が浮かんでいるかのように見えるデザインを実現した。左右がゆるやかに湾曲する、エッジスクリーンもこれを際立たせる。
スペックについても、フラッグシップにふさわしく、チップセットには「Snapdragon 835」を採用。メモリ(RAM)が4GB、ストレージ(ROM)が64GBと、こちらも十分な数値だ。画素1つ1つに位相差センサーを配置した、デュアルピクセルセンサーも継承。新たに虹彩認証や顔認証に対応するなど、セキュリティ機能も万全にしてきた。
Galaxy S8、S8+の2機種はいわゆるグローバルモデルだが、日本ではドコモとauから発売となった。すでに店頭に並んでいるため、目にしたことがある人も少ないないだろう。前評判の高さもあって、初週から販売ランキング上位に顔を出すなど、滑り出しは上々のようだ。筆者も、ドコモ版のGalaxy S8+をメイン端末として買い、約1週間使い続けている。その使い勝手を、徹底的にレビューしていきたい。
1週間使い続けたドコモ版の「Galaxy S8+」をレビュー
■ひと目でGalaxyだと分かるデザイン、持ち心地も高く評価
スマホは、前面がほぼディスプレイで占められてしまうため、デザインで差別化しづらいと言われている。実際、スマホの開発に携わるデザイナーに話を聞いても、同様の答えが返ってくることが多い。一方で、Galaxy S8+を見ると、あながちそうでもないのではないかと思わされる。
論より証拠で、とりえあえず実機や写真を見てほしい。前面がほぼディスプレイになっており、左右が湾曲している姿は、一目で最新のGalaxyだと分かるだろう。写真を表示させ、持ち上げてみると、まるで空中に写真が浮かび上がっているように見えるはずだ。さすがにベゼルがまったくないわけではないため、明るい場所だとディスプレイであることは認識できるが、夜だと、本当に映像が突然、空間の中に姿を現したように感じられる。
ベゼルがギリギリまで削られており、映像が浮かんでいるように見える
Galaxy S8+はカラーバリエーションによらず、前面はブラックになっている。サムスンによると、これは、ディスプレイによりユーザーが集中できるようにするためだという。実際に手に取ってみると、それが正解だったとよく分かる。この形状を一目見ると、これまでのスマホが、まるで過去のもののように思えてくる。逆に言えば、“未来感”あふれるデザインと言えるだろう。
ベゼルが狭くなっているため、持ちづらいかと言えば、まったくそのようなこともない。ディスプレイだけでなく、Galaxy S8+は背面にも前面のエッジスクリーンと同様のカーブがつけられており、側面に向かって細くなっていく形状に仕上がっている。そのため、持ったとき、手にしっかりとフィットする印象だ。Galaxy S8+は6.2インチと、スマホの中では超大画面だが、むしろ下手なコンパクトスマホより、持ちやすいと感じる。
6.2インチと大画面だが、予想以上に手にフィットして、片手でもスムーズに操作できている
ただし、6.2インチといっても、Galaxy S8+のディスプレイは縦に長いため、数値だけをうのみにするのは間違いだ。サムスンは、この機種に18.5:9の縦長ディスプレイを採用しているため、Galaxy S8+は6.2インチながら、横幅は7mmに抑えられている。同機種の先代にあたるGalaxy S7 edgeも同じ73mmで、横幅の数値はキープしているのだ。
一方で、同じ73mmでも、Galaxy S8+の方が、Galaxy S7 edgeより持ちやすい。これは、先に挙げた、背面のカーブのおかげだろう。重量が173gとやや重めだが、バランスがいいためか、むしろ軽く感じることも付け加えておきたい。見た目だけでなく、持ち心地のよさも、同クラスのスマホの中では、トップクラスと言えるだろう。