■はたして日本でもスタイラーは売れるの?
韓国のご家庭でスタイラーするのはもはや常識になりつつあるようだ。でも、日本での人気はこれから。そこで、LGエレクトロニクスの役員であり、H&A事業本部 アプライアンスB2B部門の部長、イム・サンム氏に日本での展開について話を訊いてみた。
イム氏によると、スタイラーは2011年のリリースから人気が沸騰するまで、4〜5年時間が掛かったという。機能面の不足やCM展開の曲折などが主な理由だが、そのノウハウを持ってすれば、日本ではもっと短い期間で人気家電として認知していただけるのではないか…そうイム氏は語る。
というのも、スタイラーはまったく新ジャンルの商品であることで競合を避けられるというのだ。また、仮に競合が出てきたとしても、日本の自動クリーニング機市場はまだ、ゼロに等しく、競合と共に相乗効果で市場規模を拡大できるからだ。LGエレクトロニクスでは同様に「ツインウォッシュ」という上下2槽式の洗濯機を日本へ導入することも検討しているという。既存の市場へ向かうより、ゼロ市場で勝負する。世界の白モノ家電市場をリードする巨星、LGエレクトロニクスはどうやら本気のようだ。
イム氏は来日する機会も多く、焼肉店や焼き鳥屋などで、日本のビジネスパーソンは外食中に煙を浴びる機会が多いと実感しているという。そして、韓国は飲食店では原則として喫煙はできない。これが、スタイラーにとって追い風になりうると考えているようだ。また、アレルギーや汚染物質などへの意識が高い国民性も追い風になる要素だとみなしている。
今後、日本でスタイラーがどれくらいの人気になるかはわからない。だが、「スタイラーする」というコトバが当たり前になったら、普段の生活は確実に便利になるだろう。そんな可能性を秘めた家電であるのは間違いない。
文/中馬幹弘(ちゅうま・みきひろ)
モノ情報誌の編集を長年手掛け、スマートフォン、家電製品全般、クルマ、フード、ファッションなど「モノトレンド」を手広くWatchする。ファイナンシャルプランナー資格も保有。