■鈍い送風機の音とコンプレッサーの音が響く中、いよいよ出発!
本線での就業時は上り下りとも、横川方、1エンドの運転台で運行していたという。そのため2エンド側の機器類は簡素化されているのだと教わる。仕業点検を再び行い、ついに、ついに! ロクサンはそろそろと進み始めた。
速度は10km/h強と実にゆっくりとしたものだが、音が大きいため実際よりもスピード感がある。練習コースは勾配があり、実は25‰と結構な角度。最大傾斜66.7‰はこの3倍弱というから、よくもまあ、こんな急坂を登り降りしていたものだ。視界の先には僚友機、EF63が2両と、かつてサポートしたJRカラーの189系「あさま」の姿が見える。
始業前点検の時間も入れて、だいたい30分程度であろうか。短いけれど実に充実した同乗体験ができた。何よりも憧れの電気機関車を動かしている(運転してないけど)というのは、ものすごい感動だ。この興奮を、読者のみなさまにも体感してもらいたい。次章ではその方法を簡単に説明させていただこう。
■どうやったら「ロクサン」を運転できるの?
碓氷峠鉄道文化むらでの「EF63形電気機関車運転体験」は、約1日の学科実技講習を受け、修了試験に合格する必要がある。講習日は毎月第3土曜日で、講習の申し込みは毎月最初の営業日の午前10時から2か月先の予約を電話で行う。先着5名の狭き門なので、まずはこの受講資格を頑張って取得してほしい。
学科実技講習の受講料金は一般が3万円。碓氷峠鉄道文化むらのファンクラブ会員は2万9000円となっている。
また、運転体験料金は1回目から29回目の方は1回あたり5000円。運転回数30回以上の方は4000円となっている。
運転回数が50回を超えると「本務機関士」という腕章がもらえ、重連推進運転などもできるという。ロクサン重連を自ら動かすなんて…これはたまりませんなぁ。
筆者は今回、同乗体験だったけれど、いつの日か自ら運転できるようになりたいと思う。月5名の受講資格を勝ち取るのが難関だけれど、がんばってみたいと思う。同好の士よ! 健闘を祈る!!
>>碓氷峠鉄道文化むら
http://www.usuitouge.com/bunkamura/
文/中馬幹弘(ちゅうま・みきひろ)
モノ情報誌の編集を長年手掛け、スマートフォン、家電製品全般、クルマ、フード、ファッションなど「モノトレンド」を手広くWatchする。ファイナンシャルプランナー資格も保有。