読者は「OFFICE HIGUCHI」という会社をご存じだろうか。「あたりまえ体操」「ンダモシタン小林」「TOKAKUKA」など、誰もが聞いたことのある楽曲を手がけた新進気鋭の音楽制作会社だ。
OFFICE HIGUCHI代表取締役の樋口太陽(ひぐちたいよう)さんは、サウンドディレクターの仕事を始めてまだ7年目だという。たった7年で「あたりまえ体操」などのヒット曲を飛ばし、四ッ谷に立派なオフィスを構える。その陰には、樋口さんの仕事や人生に対する考え方があった。音楽制作をストイックに重ねて得た「ライフハック」があったのだ。
■常に自分に負荷をかけてきた
井上:樋口さんは福岡県田川市のご出身だそうですね。福岡県の大学を卒業後、シンガーソングライター「A FREETER」として音楽の活動をして、2010年に上京された。上京のきっかけは何だったんですか?
樋口:その頃すでに兄の樋口聖典(ひぐちきよのり)が音楽クリエイターとして東京で活動していたんです。兄の仕事が忙しくなって、それを手伝う形で僕も上京しました。その後2人で「OFFICE HIGUCHI」を設立しました。
井上:それからたった7年で様々なヒット曲を手がけ、四ッ谷に立派なオフィスを構えて…。とんとん拍子にきているように見えます。ずばり成功の秘訣はなんでしょう?
樋口:成功の秘訣かどうかは分かりませんが…失敗を恐れず進歩し続けることを念頭に、常に自分に負荷をかけてきました。吉祥寺の環境の良い物件に住んだり、周囲の反対を押しきって四ッ谷にオフィスを構えたり、絶対に必要とは言えないタイミングで人を雇ってみたり。「うまいこといっているな~」と、その都度現状に満足しながら働いていたら、きっと今はなかったと思います。
井上:なるほど。成功されている人ほど、人とは違う生き方や考え方があります。その点、樋口さんは日々の音楽制作を通して、仕事や人生をよりよいものにする「ライフハック」を生みだしているとお聞きしました。まさに人とは違う考え方です。具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。