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「あたりまえ体操」を世に送り出した音楽クリエイターが当たり前にやっていること

2017.05.12

■運命的なアクシデントが積み重なって出来上がる作品を追求したい

井上:最後に、今後の目標をお聞かせください。

樋口:音楽制作を請け負う以上、もはや「個人的にこのような曲がやりたい」というレベルではないです。この時代の、この瞬間の、この状況でしかできなかったものを最大限に提供していきたいですね。

井上:ちょっと難しいお話ですね。具体例はありますか?

あたりまえ体操

樋口:「あたりまえ体操」で例を挙げますと、たいていの芸人さんは常に斬新な発想を追い求め続けています。しかしCOWCOWさんは「あたりまえのことをあたりまえに言う」ことに挑戦しました。さらに、表舞台に出ないはずの私(「あたりまえ体操」は樋口さんが歌唱している)が作品を歌い上げるという(笑)。あれはもはやアクシデントのようなものです。アクシデント的に生まれた作品が、結果的にヒットしました。

井上:「あたりまえ体操」は偶然が重なって出来上がった作品だったのですね。偶然がなければ、何か一つでも条件が狂えば、あのヒットはなかった。

樋口:「どの時期に」「どの企画で」「誰が担当して」といった、直前まで予想できなかった状況に放りこまれて、限られた時間の中で楽曲を作り上げる。そんな作品を残し続けていきたいと思います。運命的なアクシデントが積み重なって出来上がる作品があります。それを楽しんでいきたいですね。

 いかがだろうか。今回の取材を通して、物事の核心をとらえた樋口太陽さんの考え方が印象に残った。樋口さんによると、音楽制作を通して得られるライフハックは今も生まれ続けているらしい。「60代70代までライフハックは生まれ続けると思います」と笑いながら語ってくれた。現在、32歳。果たして30年後、樋口さんはどんなライフハックを提案してくれるのだろうか。

取材・文=いのうえゆきひろ

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