さて、ここで試乗したのは新設定された、新型インプレッサスポーツには用意されている1.6Lモデル(1.6i-S アイサイト)。つまりXモードが備わる仕様である。
乗り味は2Lモデルとはちょっと異なる。2Lモデルは上質で快適かつビシッと引き締まった乗り心地、2L、154psの水平対向エンジンがもたらす濃厚でトルキーな加速力が持ち味。一方、1.6Lモデルはインプレッサスポーツのモデル差同様、出足からスッと前に出る、より軽快かつ爽快(そうかい)なドライブフィールが身の上だ。
実は、1.6Lと2Lモデルの加速フィールには、排気量差から期待するほどの格別大きな違いはない。その理由は2Lの水平対向エンジンは燃費を考えた直噴仕様であり、ゆえに燃費性能ではむしろ1.6Lを凌(しの)いでいるわけだ(1.6L=16.2km/L、2L=最高16.4km/L)。ちょっと運転慣れしている人が2Lモデルを運転して、アクセルOFFでのエンジンの回転落ちが遅い・・・と感じるのも、減速ブレーキをかかりにくくし、ある意味惰性で走るコースト状態を重視したチューニングだからだ。
一方、XVとしては新設定の1.6L、115psの水平対向エンジンは、かつてのスバル1.5Lエンジンのパワー不足を補うべく、主に欧州向けに開発されたユニットであり、欧州のドライバーの運転スタイルにも適した、高回転を使ってナンボのエンジン(比較的高回転を使うため燃費に影響する)。排気量、スペック以上の動力性能に感じられるのは、そうしたキャラクターからと思える。
ところで、前日に大雪が降った軽井沢の試乗コースには先代2Lモデルも用意されていた。先代の走りはどちらかと言えばおおらかなストローク感あるゆったりとした乗り味が基本。しかし新型2Lモデルはより剛性感ある、骨太でしっかり上質な走りのテイストが際立つ印象だ。試乗コース途中にはパイロンスロラームのセクションが設けられていたが、ステアリングの応答性、リニアな回頭性、リヤのふんばり感、絶対的な安定感、インプレッサスポーツにも劣らない低重心感覚は無論、新型が圧倒。SGP(スバルグローバル・プラットフォーム)の面目躍如というところだろう。
では、新型スバルXVは1.6L、2Lのどちらを買うべきか。公道をじっくりと走ったわけではないので結論は持ち越したいが、XVを、都会に似合うスタイリッシュさと、UVに匹敵する走破性を併せ持つクロスオーバーSUVと位置づけるなら、213.84万円という、アイサイトver.3搭載でどう考えてもリーズナブルすぎるXモードなしの1.6iアイサイトは除外したい。