『ここまで揃ってサウナ代無料の奇跡を見たか?』
いやホントにね、無料でこんなデカイサウナ室作っちゃっていいのか? ってまず思いましたよ。でも逆に考えれば、無料だからこそ誰でもサウナ室入ってくるんで、大きくないとすぐ満員になっちゃうのか? という考え方もできる。
まぁどっちにしてもとにかく銭湯のサウナの常識を超えた広いサウナ室。
そして問題は温度と湿度ということになってきますが、温度計によると温度は90度。そして湿度に関しては、高湿という程ではないにしろ、しっかりとした湿度があるんですよ。
これはかなり体が心から温まりますよ。3分もすると一気に汗が吹き出してくる。460円ならすでにこの時点で満足である。
水風呂は水温計表示18度と、特に冷たいことはないんだけど、バイブラっつうの? 浴槽の底から泡が強烈にブクブク吹き出してましてね、体感的にはそれよりズッと冷たく感じる。体の回りを常に冷たい水がギュルンギュルンと黒潮のように動き回ってる感触ですらある。
まぁ、サウナ室の広さに比べれば水風呂はかなり小さいし、塩素臭も若干ある。しかし許す。こういう時にこそ西郷隆盛的に、
「よかよか! よかでいたい!!」
なのである。460円でなにからなにかまで完璧を求めるのは、そりゃあアンタ全たくってもんだ。
さらにこの“よかよか”をさらに後押しするのが、外気浴のできる小さな露天スペースみたいなのがあるってとこだ。冬なんかは、水風呂で体冷やすのは中途半端程度にしておいて、むしろ冷たい風に当たって体を冷やした方が正直気持ちがイイ!!
だがこの銭湯最大の魅力はサウナ室でも外気浴のできる露天スペースでもない! 実は男女共用のロビーが一番素晴らしい!
普通銭湯のロビーっつったら、なんか応接ソファがおいてあったりする程度でしょ? 自動販売機があったりして。でもここは、ビールやチューハイが呑めるだけでなく、なんと、街サウナの休憩室にあるような、オットマン付きのリクライニングシートが9脚も並んでるのだ!!
さすがに電動リクライニングだ、USB電源付きだ、個人テレビモニター付きだ、なんてことはないけどさ、460円でサウナ入ってリクライニングで休憩できる。これが“ととのった”ってヤツだよバカヤロー! と、とりあえず怒ってみたくもなるが、あんまり気持ちいいので、そんなバカヤローにも“よかよか、よかですたい”という寛容の気持ちになってくる。それが『K湯(仮名)』である。
文/カーツさとう
コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。
■連載/カーツさとうの最強サウナ熱伝