−−外観のこだわりはどうでしょうか?
大平氏:今までのプラスチック筐体(ボディ)からアルミニウム合金を削り出したボディにしています。
そして表面は手間がかかりますが、ヘアライン加工を施しています。
さらに、ボディ外周にダイヤカットを施しています。すごく艶が出ているのがわかりますか? これはダブルアルマイト処理をしているからなんです。とにかく材料を一から見直し、ひとつひとつの工程の精度を高め、フラッグシップに相応しい、硬質感・重厚感を出すようにしました。
宇都宮氏:キーと筐体の隙間にリブが入っていないのが見えますか? 『S100』はV字ギアリンクのおかげで、キーがぶれずにストレートに押し込まれるので、キー自体が周りのアルミ筐体に削られるリスクが少ないのです。なので、ボディとキーの隙間を狭くするデザインに攻め込みました。
大平氏:それから、横から見てもらえばわかるのですが、通常のモデルは液晶部分が立ち上がっているんですね。キーボード部分の傾斜角が3°、液晶部分が8°というのが、カシオが長年の歴史で編み出した理想の角度だと思っています。しかし、『S100』の筐体はストレートになっていますが、キーボード部の傾斜角が3°、液晶部分は筐体部の傾斜角3°と内部傾斜角で8°を確保しています。
宇都宮氏:先行モデルでは、くの字になったモデルも試作したんです。でも、あえてストレートを選択した。それは、アルミニウム合金の切削で剛性を出すためにはストレートにする方が有利だという、技術面でのニーズもあるのですが、ストレートの方が見た目の安心感が強いです。これは感性に訴える部分だと思います。