最近、輸入車の特別仕様車が発売されると、すぐに完売になるケースが多い。特に人気なのがスポーツタイプの限定車だ。希少価値が高いとはいえ、どこまでオーナーの心を満足させてくれるのか、注目の2台をチェックした。
「走る楽しさを感じるクルマでファンを増やしたい」という日本のメーカーは多いが、実際に市場に投入するのは、販売台数が期待できるSUVやミニバンばかり。〝走り〟を楽しめるスポーツモデルはなかなか登場しない。だが、価格の手頃な2BOXカーをベースにしたチューニングモデルなら、リーズナブルな価格で提供できるはず。トヨタはGAZOOレーシング、日産はNISMOと、モータースポーツのノウハウを生かしたモデルを発売しているが、力の入れ方はいまひとつだ。
◎100年前からレースで培ったノウハウを投入
今回、紹介する2車はルノーとプジョーのチューニングスポーツ。いずれもフランス車だが、両者のライバル関係はそれこそ20世紀初頃、クルマの創成期から続いている。どちらのメーカーもF1、耐久レース、世界ラリー選手権などでチャンピオンになるなど実力はトップクラス。そのチューニング技術を結集し、スポーツモデルを開発しているのだ。それも量販モデルの2BOXカーをベース車として。
まずはルノースポールが手がけた『メガーヌR.S.トロフィー』。2Lのターボエンジンは273PS、360Nmというハイレベルなチューンが施されている。内装も本格的なセミバケットシートなど、随所にレーシーなエッセンスを注入。実際に運転しても、手首の動きでピッと向きを変えるクイックな操縦性はスポーツ走行の緊張感とワクワク感を味わうことができる。ドイツのニュルブルクリンクサーキットでFF車世界最速記録をホンダの『シビックタイプR』と争う本格スポーツモデルだ。
もう1台はプジョースポール『308 GTi 270』。〝270〟は270PSのことを指す。プジョーもF1やパリダカなどで活躍しているが、販売の主力はファミリーカー。チューニングレベルが高いだけでなく、実用性も重視しており、ドライビングの爽快感も十分。これもベースになる2BOXカーの完成度が高いからできることだ。それを考えると、コンパクトカーを中心に実用性を重視したクルマづくりに注力してきた日本のメーカーができないはずがない。マツダ、スバル、ダイハツあたりに期待したいところだ。