2017年は今や日本のメンズシェーバー市場を代表するブランドとなったパナソニックの「ラムダッシュ」が誕生して15年という節目の年にあたる。そこで今回は初号機である「ES8093」から最新モデルの「ES-LV9B」まで、主要モデルを振り返りながら、その技術の歩みと進化をたどってみよう。
お話をうかがったのは、パナソニック彦根工場でメンズシェーバーのリニアモーターと刃の開発を担当。4枚刃と5枚刃ラムダッシュの立ち上げに携わってきたパーソナル商品部の清水宏明さんだ。
−−ラムダッシュが誕生する以前は、1995年に世界で初めてリニアモーターを搭載した「ES881」、その第2世代で世界最高速駆動を実現した「ES8003」などが発売されていました。
清水 2002年にラムダッシュが登場するまでは、リニアスムーサーというカテゴリーネームを使っていました。「ES881」や「ES8003」は、その代表的なモデルとなります。そんなリニアスムーサーから「全方位フトーロヘッド」と「ダイレクトリニアドライブ」を継承して、新たに「30°鋭角内刃」を加えて誕生したのがラムダッシュの1号機である「ES8093」になります。
ラムダッシュ ES8093(2002年)
記念すべきラムダッシュの1号機。発売開始1年でシリーズ販売合計24万台を突破するという、電気シェーバーとしては初の快挙を達成する。
−−刃は薄くして、かつ鋭角であるほど切れ味が増すと聞いています。
清水 そのとおりですね。ただし、薄くすると剛性が不足してもろくなる部分もありますので、刃の作り方から変更しました。具体的には1枚の板から刃を成型しています。この製法であれば硬度を確保できる上に作りやすく、コストも節減できるからです。
左が2000年当時の第2世代、右が2002年の第3世代のリニアモーター。
清水 そして内蔵しているリニアモーターの小型化ですね。前世代と比較すると、高さはほぼ半分までになりました。この時は内部の電池も進化して高い電圧で使えるなど、ES8093は刃だけ、リニアだけではなく、総合的な進化を遂げたモデルであったと思います。
「全方位フトーロヘッド」「ダイレクトリニアドライブ」「30°鋭角内刃」という3つの技術を携えてデビューを果たしたラムダッシュ。順調に市場を拡大しながらも、2007年に最初の転換期を迎える。4枚刃搭載モデル「ES8259」の登場である。
パナソニック株式会社
ビューティ・リビング事業部
主任技師 清水宏明さん