■嘘で、会社をつくる
嘘をつきまくる人は、「うちの部署は、こうだ」「社長や役員は、こう思っている」と信じ込む。それらが事実ならともかく、嘘であり、妄想である可能性が高い。しかし、嘘も100回つけば真実になる、という言葉があるように、嘘をつきまくると、本人の心の中では事実となっていく。だから、取引先が「本当に、Aのところをなおすようにと社内で意見が統一されているのですか?」と尋ねると、「ええ、そうです」と息を吐くかのように嘘をつく。
■妄想なのに、事実と思い込む
このような人は、嘘を繰り返して妄想にして、それを事実と信じ込む。そもそも、嘘をついている自覚はない。事実を事実として話している、と真剣に思う。それができる性格であり、気質であり、感覚なのだ。トラブルやミス、問題を起こしても、「すべて相手が悪い」とわい曲し、受け入れる。自分がいかに迷惑をかけているか、と反省などしない。迷惑をかけているのは相手であり、自分は被害者、と信じ込む。嘘をつきまくる人は、「常に自分こそ、正義」と思う技術を身につけている。
嘘をつきまくる人がいたら、説得をしてはいけない。嘘をつきまくる人は、独自の価値観やプライドをもっている。だから、説得をされると、自分が否定されたと思い、興奮する。深入りをしないことが、良好な関係を維持するコツだ。嘘に反応することなく、「そう、そう」と軽く同意しておくだけで、この人たちは満足する。あなたは、親友にもなれる。どうか、仲良くしてあげてほしい。
文/吉田典史
ジャーナリスト。主に経営・社会分野で記事や本を書く。近著に「会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ」(KADOKAWA/中経出版)。
■連載/あるあるビジネス処方箋