さらに県鳥の水鳥『かいつぶり』や琵琶湖にのみ生息する固有種の『なまず』=ビワコオオナマズ、『しろ』(彦根城か?城跡のみ残る安土城か?)や甲賀忍者の『しゅりけん』など、滋賀にゆかりのあるデザインも描き放題。
なんと、県内では「イナヅマナンバー」と呼ばれる(そして県外では「ゲジゲジナンバー」と嘲笑されている)自動車ナンバープレートの「滋」の字のギザギザの部分だって描けるのだ。
ゲジゲジナンバー、略して「ゲジナン」と呼ばれる滋賀ナンバーの一部図柄。ゲジナンという語感のひどさよ。
こんなの、どう考えても滋賀県民しか喜ばない。ざっくり全滋賀のご家庭に1つずつ備えると世帯数分約56万個売れるのだが、逆に日本国内の滋賀以外では売れる要素ゼロ。あまりにも限定的すぎる極狭文房具である。
じゃあどうせなら『よっと』の代わりに外輪船『みしがん』もしくは研修船『うみのこ』が欲しかったし、平和堂の『はと』も地図には必須のマークだろう。お土産マークとしてクラブハリエのバウムクーヘンやうばが餅もあるといい。島以外に琵琶湖大橋・近江大橋の二大橋の位置も正確に描き込みたい。
パッケージ。琵琶湖がスラスラ描ける、という行為の意味については説明されていない。
滋賀県民以外には全く意味不明だろうが、それでいい。そこまで滋賀に特化してこそ、狭い範囲内での喜びも増すというものだろう。バージョン2が出るようなら(たぶん出ない)、ぜひそこまでやって欲しい。
ところで、なんでこんな狭い文房具をコクヨが作っているのか?
実はコクヨは琵琶湖の湖東にある工場でキャンパスノートなどを生産し、『びわこ文具』なるシリーズまで展開している。滋賀愛・琵琶湖愛に満ちたメーカーなのである。
たぶん工場で働いている人もテンプレート無しでは琵琶湖が描けないと思うが。
文/きだてたく