■室屋選手のデモフライトにビビリは頂点へ
フライト直前に恐怖体験をした我々試乗体験者は、さらに奈落の底へと落とされることになる。室屋選手のデモフライトを見てしまったからだ。そのデモとは……。
滑走路から離陸すると一転、ほぼ垂直に空へと飛び上がっていく『エクストラ300L』。「小さくなったなぁ~」と思っていたら、急に180度旋回し、すぐさまロールを10回転もしただろうか、真っ逆さまに地上へ向かう。
そして地面すれすれまで落下したら反転、S字を描くようにスラロームしながら滑走路上をフル加速。そこからまた上空へ一気に垂直上昇、そのまま大きなループで背面回転。いくらなんでもこれはマズい! こんなフライトに耐えられるわけがない。心は完全に折れていた。
室屋義秀さん。1998年、日本初の「競技志向型エアショーチーム」として、世界最高峰のエアロバティックス(曲技飛行)専用機スホーイ26で鮮烈なデビューを飾って以来、日本全国・世界各地を飛び廻り、各地でデモンストレーションを実施。2009年には世界最速のモータースポーツ・レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップに初のアジア人パイロットとして参戦し、ルーキーとしては異例の6位に入賞を果たす。2014年、3年ぶりに復活したレッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ、マスタークラス14名のパイロットの1人に選抜される。