スクレーパーの部分であるスチール部は“ペルラージュ模様”を入れることにする。ペルラージュとは真珠をイメージした円形装飾のことで、時計だと主にムーブメントの基盤部に施される。半円模様がいくつも重なり金属が美しく見える。
ドリルマシンの先端にチップを付け、正確にそして同じピッチで紋をつけていく。「ペルラージュの大きさはいろいろ意見あると思うけどオレは細かい方が好き」とのことでビッシリ付けられた。
黙々とペルラージュ加工をする牧原氏。上体がぶれずに作業する姿はさながら工作機械のようだ。
30分ほどでスクレーパーにペルラージュ加工が完成する。手と目の感覚で仕上げたとは思えない均一な模様で施された。木の柄の部分は鉛筆で下書きして足りないところはフリーハンドで彫っていく。できあがったのはこれだ。
アルミの留め金の部分を花の中心にするという粋な模様の完成である。ちなみにアルミの留め具はより深く精密に彫るため、いったん外してから彫ったとのこと。ここまでで製作時間は3.5時間ほどだったそうだ。
出来上がりをパッケージに入れた状態で比べて見よう。
同じ100円均一の商品とは思えない出来である。身の回りのものに手を加えるだけで特別なものに進化する好例だと言えよう。