■100円均一の商品に時計装飾的な付加価値をつけることができるのか?
この装飾技術は他のものでも付加価値をあげることができるのではないか……。そこで筆者は牧原氏に「“100円均一の商品”に時計的な装飾を施すことができないか」と企画を持ち込んだのである。
「素材によるけど、できないことはない」とのことだったので、近所の100円ショップ『Seria』を物色し工具を調達してきた。まずは工具を選んでもらうことにした。用意した工具は小さいスクレーパーと大きいスクレーパー、アルミのボタン、計量スプーンである。
筆者が用意した商品ラインナップに苦笑しつつも、「まあこの中ならこれかな」と小型のスクレーパーを選択する牧原氏。本体や柄の部分の素材を確認する。
話しているそばから、回転台にスクレーパーをはめ、柄と本体を留める金属部を掘り始める。ビュランと呼ばれる彫金用の工具で彫り始める。牧原氏の掘り方は“洋彫り”と呼ばれる方法で、和彫りのように金槌でトントン叩かず、滑らすように彫る。フリーハンドで掘っているように見えるが、「手は同じ位置で固定して回転台を回すだけ」という。
掘り始めること5分。留め具の部分にさっそく菊の花弁模様が現れる。