■ワゴンに積まれている商品の数は、50〜60品目
1回の乗務で歩く距離は最低でも約800m。一編成の持ち回り号車を二往復する計算だが、多い時には更にもう一往復する。大人の男性の体重ほどもあるワゴンを押しつつ、接客しながら何往復もするのだ。乗客が何か買いたいなと思っていてもタイミングが合わないということも、よくあるのではないだろうか。
パーサーは大人の男性の体重ほどもあるワゴンを押しつつ、接客しながら何往復もする。
「そのような時は、パーサーが車両から出る際に車両を向いてお辞儀をします。その時に手を挙げていただければ、だいたい気付きます。ぜひ手を挙げていただければと思います」
ワゴンに積まれる商品アイテムは50〜60品目。スマートフォンの充電器なども置かれている。中でも季節限定の商品や、車内でしか購入できない限定商品などは人気が高く、まとめて購入していく乗客もいるという。
知らない人も多いがメニューも用意されている。
季節によって、オーストラリアワインやコーヒーなどのキャンペーンを行なうこともある。忙しい彼女たちの励みになるのが、「ありがとう」の一言だそう。中には、会社にお礼の手紙をくれる乗客もいるのだとか。
「単純なことのようですが、やはり喜んで頂けることが嬉しいから、こんなに長く続けていられるのだと思います」
新幹線の座席数は、1323席。途中駅で乗り降りする人もいるので、延べ人数は更に多い。その中で接する乗客との出会いはまさに一期一会だ。そうしてサービスを提供するひとりひとりとのご縁を大事にしながら、パーサーたちは今日も笑顔で奮闘している。
新幹線のパーサーたちも50年以上日本の大動脈を支えてきた裏方だ。
文/編集部
◎車内販売の商品など各種データは取材時のものです。