■連載/ヒット商品開発秘話
家の中のあらゆるところを、どんなに丁寧かつマメに掃除をしても、なかなか落ちない頑固な汚れはないだろうか? どんな洗剤を使っても落とせなかった頑固な汚れを落とすと現在評判なのが、リンレイの『ウルトラハードクリーナー』シリーズである。
2015年9月に発売された『ウルトラハードクリーナー』シリーズは、今までになかった強力な洗浄力を誇る住居用洗剤。店頭参考価格1280円と高価ながら、発売と同時に欠品を起こすほど売れ、今なお品薄状態が続いているほど。2016年8月までで約40万本(出荷量ベース)売れているという。
■既存の洗剤の洗浄力に不満
開発がスタートしたのは2014年冬のこと。70年かけて培ったビルメンテナンス用品のノウハウと技術力を、コンシューマー向けの製品に生かすこと目的に開発することになった。
このような背景に至るには、開発を担当した山田貴之氏(企画開発部 チーフリーダー)の経験も少なからず反映されていた。山田氏は週末、家の掃除全般を担当しているが、汚れが落とし切れないうちに蓄積し、落とせなくなっていたところがあった。「汚れを落とせない洗剤を使って繰り返し掃除をすると、汚れも頑固になり手に負えなくなります。頑固な汚れを落としたいという気持ちはあっても、これまではそれを可能にする商品がありませんでした」と振り返る。
ラインアップは〈油汚れ用〉〈バス用〉〈多用途〉とした。マルチに使える〈多用途〉がある一方で、〈油汚れ用〉と〈バス用〉と専門的なものも開発することにしたのは、〈多用途〉だけだと洗浄力が強くなりすぎ、場合によっては変色などを起こしてしまいかねなかったため。危害性を考慮すると、専門的な洗剤もつくって〈多用途〉の洗浄力を強くしないようにする必要があった。また、専門的な洗剤をつくるのに油汚れと風呂場の汚れに注目したのは、この2つが住居の汚れでは最も手強いため。シリーズ第一弾の商品として、家の掃除で最も困っているところに対応することにした。