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なぜ、食器洗い乾燥機の普及率は“西高東低”なのか?

2016.09.25

■県民性博士・矢野 新一氏が食器洗い乾燥機の普及率と県民性の関係を解説

 この調査結果をふまえ、県民性研究の第一人者であり、各都道府県の特性や県民性に詳しい矢野新一氏は、県民性に見る食器洗い乾燥機の普及率の違いについて、以下のように分析している。

◎県民性も“西高東低”?新しいもの好き&買い物上手な“西”エリア

 全国の普及率の結果を見ると、全体として“西高東低”になっていますが、これは県民性によるところも大きいと感じます。食器洗い乾燥機は、日本では、家電の 中でもまだ歴史が浅く“新しい”ものだと言えます。また、食器洗いをするのはほとんどの場合が女性であることを鑑みると、女性の意見が購入にあたって強く反映される家電です。新しいものに対しての興味関心度合いと、女性の家庭内での“強さ”が、食器洗い乾燥機の普及率と県民性の関連を紐解く鍵になるでしょう。

 まず、普及率が高かった“西”のエリアに関しては、歴史的にも新しいものに対して積極的に取り入れる、開放的な姿勢が全体的にあります。お金の使い方にシビアな傾向もありますが、「無駄なお金を使いたくない」という気持ちがある一方で、利便性や自分にとってのメリットなど、「良い」と 感じたものに対してはお金を使うことが多いです。

 1位の奈良県は、新旧様々なものが集まる商業の街・大阪のベッドタウンとして発展してき た歴史があり、新しいものに対する抵抗がほとんどない県民性。新興住宅地とも言えるエリアなので、ご近所付き合いの中で、「隣の奥さんが使っているなら私も…」と、競争意識を潜在的に抱くことも考えられます。世帯あたりの預貯金額が全国的に見ても高いことも一因ではありますが、買い物上手、やりくり上手な人が多いことも特長です。奈良県は「ピアノ」の各家庭あたりの所有率も高いのですが、このことからも、家具や家電など、比較的高額なものに対しての投資をする県民性があると言えます。

 2位の香川県は、現実的な考え方で経済観念が発達しているだけに、生活も堅実。女子教育が盛んだった県ですので、女性が何事にも積極的で自立志向も強い傾向にあります。それに加え、男女ともにプライドが高いことで、見栄っ張りという要素も一部影響して普及率が高い結果になっているのではないでしょうか。

 3位の広島県は、“西”のエリアの中でも特に新しいもの好き。また、買い物に対して金額面に“うるさく言わない”県でもあります。スーパーを見ても、隣の岡山県と違って高級品が多く、東京都内の高級スーパー並の価格帯のお店もあるほどです。また、値引きが可能な ことが多い量販店でも、値引き交渉をする人が少ないところ。世帯あたりの所得や預貯金額は全国平均程度ですが、ほしいものに対しては抵抗なくお金を使う、 これも投資をする県だと言えるでしょう。

◎言いたくても言い出せない…人の目が気になる“東”エリア

 反対に、北海道・東北地方を中心とした“東”エリアは、非常に保守的な傾向があります。新しいものが好きな人が少なく、競争意識というよりは、まわりの人にどう思われるかを気にしてしまう人も多いでしょう。保守的なので、新しいものだけではなく、エリア外のものに対してもシビアです。内向的な性質もあり、外からの意見よりも、内での意見の方が重視されがち。

 権威や伝統を重んじる風土であることから、社会的地位の高い人物や企業などからの発信・意見を重視する傾向にあるため、見知らぬブランドなどに対しては名前だけで「信頼できない」といったイメージを持たれてしまうこともあります。

 一度起こったこと や感じたことに対しての執着心も強い傾向にあるため、ネガティブなイメージを持たれてしまうと、それが簡単には払拭されないことが多いです。食器洗い乾燥機であれば、「大きい」「高い」などのイメージが一度ついてしまっていて、そこから抜け出せていない状況も考えられます。このことからすると、今回、北海道、青森県、新潟県や山梨県など、普及率の下位グループに“東”エリアが多いことは、納得の結果であると感じます。

 また、意識調査において「贅沢品なイメージがある」の回答率が高かったことには、まわりの目を気にする特性が現れています。二世帯同居家庭ではなくても、結婚していれば姑の目が気になり、結婚していなくても両親の目が気になり、そもそも購入したい気持ちがあっても言い出せない人も多いのではないでしょうか。上の世代としては 「自分たちはこうやってきた」、食器洗い乾燥機で言うと、「手で洗ってきた」という自負があり、その価値観を下の世代に無意識に押し付けてしまうこともハードルになっているのかもしれません。

 例えば、43位の新潟県は勤勉でコツコツ努力するタイプの県民性。それだけに、食器洗い乾燥機は「楽をしている」と思われてしまうことを避けたい心境が反映され、普及率が低くなっている可能性もあります。

 最下位の北海道に関しては、特に札幌圏は結婚をすると仕事をやめて家庭に入る女性が多く、価格意識が強くなることも影響していると考えられます。

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