夏の陽射しを浴びながらの気持ちがいいドライブといえば、やっぱりオープンカー。今回はその中から人気の2台をピックアップする。
クルマに関して文化レベルを測る物差しのひとつにオープンカーの存在がある。日本では80年代に多くのメーカーがオープンカーを製造していた。しかし、この30年で、販売台数が多くは望めない、コスト高になるといった理由で、バブル破壊とともに徐々に生産中止に追い込まれていく。今では、マツダ『ロードスター』、ホンダ『S660』、ダイハツ『コペン』だけ。日産の『フェアレディZ』もカブリオレは北米仕様のみとなってしまった。一方、自動車先進国の欧米のメーカー各社は今でもきちんとオープンカーをラインアップしている。販売台数が望めなくても、愛好者がいる限り、彼らは提供し続ける。これが〝文化〟というものだ。今回はその中から最新モデルを試乗した。
アウディ『TTロードスター』は9年ぶりにフルモデルチェンジ。「TTシリーズ」は98年に初代がデビューして以来、世界で累計50万台以上を販売している。2ドアクーペとロードスターがあり、クーペは前輪駆動モデルも選べる。今回試乗したのは2Lターボ、230PSの4輪駆動(クワトロ)で、6速ATを組み合わせている。アルミを多用したボディーは4WDにもかかわらず軽めの仕上がりで、ほぼ同じサイズのメルセデス・ベンツ『SLK』より50kgも軽い。
一方の『SLK』は2011年から現行のスタイルになったが、昨年後半にパワーユニットを1.8Lターボから最新の2Lターボに変更。成層燃焼リーンバーンとターボ過給でトルクと燃費がアップし、さらに変速機も最新の9速ATを搭載した。クーペは用意していないが、ルーフは樹脂製のハードタイプで、室内のスイッチで開閉操作を行なう。ルーフを閉じた状態でもスイッチ操作でルーフからの光の透過度を切り替えることができる「マジックスカイコントロールパノラミックバリオルーフ」が標準で装備されている。
◎スポーツ志向の『TT』、実用性も追求した『SLK』
同じドイツ生まれの2台だが、乗り比べると、性格はかなり違う。スポーツ色が強いのは『TT』。2Lのターボは7000回転まで上昇し、シフトアップ。0→100km/hの加速は6秒台。ホロの開閉と収納も手早く、メーターのデザインも斬新だ。『SLK』は実用性まで重視しており、トランクスペースはルーフを収納しなければ広めだ。9速で100km/Lで巡航しても1500回転と、日本の市場を重視している。ちなみに0→100km/hの加速は8秒台。街乗りでも十分に使える。