CGアニメーションを牽引するピクサー・アニメーション・スタジオは、今年で30周年を迎える。奇しくもDIMEと同じ設立年ということで、今回7月16日(土)に全国公開になるディズニー/ピクサー最新作『ファインディング・ドリー』の公開に合わせ、ピクサー社を訪れ取材を決行した。その中で「ピクサーすご過ぎ!」と感じられた事柄をご紹介しよう。
■すご過ぎ伝説1 スティーブ・ジョブズが設計した、自然と社員交流がはかどるスティーブ・ジョブズ ビルディング
創業メンバーのひとり、スティーブ・ジョブズが設計したオフィスビルは、左右にオフィスゾーンを作り、中心にカフェ、ショップ、シアター、メールルーム、シリアルルーム、トイレを配置。オフィスに行くには必ずカフェの前を通るし、トイレに行くにも中心部だから必然的に誰かしらに合うことができる。ピクサーは何度も何度も話し合ってストーリーやアニメーションを良い方向に導こうとする、そんな意見交換がしやすい場にこだわる社風が、建物にも表れているのだ。
エントランスを入ると広い吹き抜け空間、ここを中心に左右にオフィスゾーンがある。
■すご過ぎ伝説2 創業メンバーがすごい!
左から、エド・キャットムル氏、スティーブ・ジョブズ氏、ジョン・ラセター氏。(C)Pixar
スティーブ・ジョブズ、ジョン・ラセター、エド・キャットムルの3人の天才が1986年に設立したのがピクサー社だ。その絶妙なバランスは成功の基盤になった。エド・キャットムル氏いわく、「私たち3人はとてもよいバランスだった。そして3人ともそれぞれとても違っていました。スティーブ・ジョブズは、外の世界とつながる役目を持っていました。そして、私たち(社の人間)を守り、同時に新しいことにチャレンジさせることにとても力を注いでくれていました。どのように会社を経営するべきかなどの社内のことに関しては、スティーブは一言も助言をしたことはありません。それらは、ジョンと私に完全に任せていました。スティーブは、アップルとは全く違うやり方でピクサーを運営していました。ジョンは2つの優れたスキルを持っていました。1つは、すべてのことにクリエイティビティーを追加すること。2つ目は他のディレクターやクリエイターがどのように感じているかを聞き、その気持ちをくみ取る感覚を持っていました。彼ら2人から学んだことは『私たちは本当に違う』ということ。ただ、そのお互いの違いを最大限に活かすことができれば、それはより強力な力になると信じていました。私たちの視点の違いを、争うのではなく、補い合うものとしてとらえることによって、より強くなりました」
94年に入社した日本人ピクサー社員の小西園子さんいわく「ビジネスにシュッとしたスティーブ・ジョブズさん、まるで校長先生のようにみんなを温かく見守り、この会社を育てようとしっかり見ていくエド・キャットマルさん、楽しいこと、面白いこと、アニメーション大好き!っていうジョン・ラセターさん、このバランスがすごく良かったですね」
(ちなみにエド・キャットムル氏のスーパーマネジメントについては、DIME9月号の「ピクサー流ものづくり」にて紹介!)