◆墓じまい後のトラブルを回避するための細かなフォロー
散骨、樹木葬、永代供養と葬儀も多様化して、墓だけにとらわれないさまざまな選択肢がある一方で、墓じまいで後悔をしたり、トラブルに見舞われるケースも少なくない。同社の調査では35%がトラブルを経験。6人に1人は親族間トラブルを経験、4人に1人が寺に払う「離壇料」が予想を超える金額だったと回答。また6割が墓の管理から解放されることに期待しながらも、新墓なしだと半数が「わびしい」気持ちになると答えている。
トラブルケースその1:亡き父母と対話できる場所がない
独身の一人娘と父母の家族で、母が先に亡くなり墓を建立。父は独身の娘に負担を掛けたくなかったことから「墓じまいをして散骨してほしい」と遺言を残して亡くなった。娘は母の墓じまいをしてから、父の遺骨と一緒に母の遺骨もすべて散骨をした。故人の遺志なので最初は何の迷いもなかったが、時が経つにつれ、亡くなった両親に会いに行く場所がなく、海に行って手を合わせても虚しさを感じるようになった。写真だけではそこに父母がいるとは思えなくなり、寺に相談したり、カウンセリングを受けたが、丸2年経ち三回忌を終えたあとうつ病になってしまった。墓じまいが直接の原因かどうかは不明だが、女性にとって父母と対話ができないことが負担になっていたのではないか。
トラブルケースその2:永代供養で親族との間に大きなトラブルが発生
父が東北、息子は家族と共に東京に住んでいるが、父は生前に「自分が亡くなったら東北にある墓をしまって東京で永代供養にしてくれ」と費用も用意していた。父が亡くなり遺言通りに永代供養をすることになったが、永代供養はいろいろなパターンがあり、二十三回忌まで個別で供養して保管、それを過ぎたら合同で埋葬するというものや、最初から合葬するものもある。このケースでは最初から合葬する形を選んでしまった。遺言では永代供養としていたが合葬までは言及していなかった。父が本家だったこともあり、兄弟、親戚から「お骨を少しも残さずに合葬してしまうなんて」と非難が殺到。息子はそれ以降、結婚式や法事にも呼ばれなくなってしまった。