「パルクール」とは、移動動作を用いた運動方法である。走る、跳ぶ、這う、転がる、ぶら下がるなどの全身動作を駆使し、カラダひとつでより効率的に移動をする。リュック・ベッソン監督作品の映画『YAMAKASI(ヤマカシ)』で取り上げられたので、見たことがあるという人も多いのではないかと思う。その映画に出演していた、映画タイトルと同名の集団「YAMAKASI」によって生み出されたエクササイズが「パルクール」だ。発祥の地であるフランスを始め、デンマークやイギリスなどのヨーロッパ、アメリカ、アジアと世界的な広がりを見せており、日本においてもパルクールパフォーマーがテレビで活躍するなど注目を集めている。
確かに注目されてはいるのだが、テレビやネットの動画で見る「パルクール」は超人たちの神業的なアクロバットがクローズアップされるばかりで、いったいどういうスポーツなのか、どこで出来るのかなど「パルクール」の全体像がいまいちわからない。なので、宮城と東京を拠点に活動するパルクール団体「SENDAI X TRAIN」が定期的に開催しているワークショップに潜入し、「パルクール」とは何なのかを学んできた。
■まずは概要説明
まずはコーチによる概要説明からワークショップがスタート。前述の映画の話に始まり、「どういった動きをするか」「目的」などをザッと解説する。
・移動するために必要な動作はすべて「パルクール」に含まれる
・ダンス、体操、カポエイラなど様々な動きの要素が含まれている
・「効率的な移動」を求める人、「自由に動かせるカラダを手に入れる」ためにトレーニングする人など、人により目的は色々
・「パルクール」はトレーニングの方法
上記のような内容が、ひととおり説明される。挨拶を兼ねた簡単な説明ではあるが、ここで「パルクール」は競技というよりも、カラダを鍛える手段というか、方法論のようなものらしいということが分かる。
■ウォーミングアップ
一般的にイメージするウォーミングアップよりも、かなり細かい。
首、肩、手首、腰、膝、足首など、思いつく関節のほとんどを念入りにグルグルと回していく。決して特殊な動きというわけではないが、エクササイズ系のワークショップにおけるウオーミングアップにしては、かなり時間をかけている。これは、本当に全身をくまなく使用する運動であることの証明以外に、怪我に対して細心の注意を払うパルクールの環境も影響しているのだと思う(理由は後述)。
こうして、全身に油をさすようにゆっくりとほぐしたら、次はジム内をジョギング。
ここでもただ走るのではなく横向き、後ろ向きなどのバリエーションあり。向きが変われば、使う筋肉も変わってくる。
次は両足ジャンプ。小さくピョンピョンと跳ねて移動。
そのまま片足ジャンプ。いわゆる「ケンケン」。
ここから、徐々にパルクールらしい動きになっていく。